LIXIL(東京都江東区)は利用シーンによって機能を分散させたパブリックトイレなど7種類、8室の個室ブースを配置した「LIXIL PARK」を東京台場のフジテレビ1F広場に設置。7月21日~9月5日までの期間限定で公開する。
自分の目的に合った個室を誰もが自由に選び利用できる「これからのパブリックトイレ」の在り方やその機能を広く知ってもらい、同社が目指す共生社会を現状のパブリックトイレを変えることで実現しようという新しい試みだ。
配置したのは、車いす対応2台(左開き、右開き)、オストメイト対応1台、用途を問わず男女の別なく利用できるベーシックタイプ2台、乳幼児連れ対応1台、授乳室1台、カームダウン・クールダウン室1台の合計8台(写真下)。
現在主流となっている車いすや乳幼児連れ、オストメイトの方などが利用できるよう一つのトイレに多くの設備を取り入れた多機能トイレはその反面で、利用者が集中してしまい使いにくくなっているという実態があると同社。また、異性の親子や介護者、トランスジェンダーなど、これまでの男女別トイレではスペース的にも精神的にも利用しにくい場合があると指摘する。
今回「LIXIL PARK」で提案するパブリックトイレは、「安心と快適を、すべての人に。」をコンセプトに、年齢・性別・身体状況に関わらず全ての人が快適に利用できる空間を目指した。パニック障害を持つ利用者などが外部の音を遮り気持ちを落ち着かせるための「カームダウン・クールダウン室」も設けた。発達障害、知的障害、精神障害、認知症などの障害や症状を持つ人の利用を想定しているという。
一級建築士でバリアフリーやユニバーサルデザインを専門とする東洋大学工業技術研究所、同大学名誉教授の髙橋儀平さんと共に2019年2月から共同研究を開始。それぞれの機能をどのように分散すれば安心して選択できるようになるかを研究し、単に設備を分けただけでない、「可能な限り個の尊厳を守るために、多機能トイレや内部にある設備を利用者の特性ごとに他のブースに分散し、安心して選択できる個のトイレへとシフトした」(髙橋教授)。
トイレはすべて同社が2020年4月に発売した、主に物流倉庫や工場に増設するトイレとして利用されている可動式アメニティーブース「withCUBE」を基本に開発。今回展示しているトイレやブースはコンセプトモデルのため、発売は現段階では未定としている。
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