3省合同の「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」は7月20日、第5回を開催し、とりまとめに向け「脱炭素に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方(案)」を提示して議論した。また、新たに対策の進め方のスケジュールが公開され、省エネ基準適合義務化は2025年の見通しを示した。
長期的な目標は「ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能を有するストックの蓄積を図る」に改め、中期的な目標は素案の「2030年における新築の住宅・建築物については平均でZEH・ZEBの実現を目指す」を維持。なお、ZEHは強化外皮基準と再エネを除く一次エネルギー消費量削減量20%を意味するとされた。
省エネ基準の適合義務化は、現行基準を「現状において少なくとも確保されるべき省エネ性能」として義務化の水準としつつ、誘導基準や、長期優良住宅等の認定基準のZEH水準への引き上げ、住宅性能表示制度における上位等級の設定などを経て「引き上げ水準を検討する」とした。
スケジュールでは、2025年度の適合義務化を経て、遅くとも2030年度には、誘導基準(2023年度にZEH水準に引き上げ予定)に基準を引き上げるとしている。適合義務化に向け、来年度から補助制度やフラット35において適合を要件化する。
また、ZEHを上回る外皮基準は、住宅性能表示制度における「さらなる上位等級」の設定や、地方自治体の取り組みの促進を検討するとの表現にとどまった。住宅・建築物への太陽光発電設置義務化は、以前から複数の委員が指摘していたが、今回の案でも義務化する旨は盛り込まれず「2050年において設置が合理的な住宅・建築物には太陽光発電設備が設置されていることが一般的となることを目指し」取り組みを進めるとした。
一方、太陽光以外の再生可能エネルギーに関する記述は拡大。太陽熱利用やバイオマス(薪ストーブやペレットストーブ)の利用拡大が盛り込まれた。
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