7月3日に、静岡県熱海市伊豆山で発生した大規模な土石流災害の現場では、現在も自衛隊や警察、消防による不明者の捜索作業や、重機なども使ったがれきの除去作業、被災者支援が続いている。
県や市によると、これまでに死者18人・行方不明者12人が確認されており、131棟(128世帯、216人)が被害に遭った。12日には、山陰地方を記録的な豪雨が襲うなど、各地で甚大な被害が発生している。
たとえ高性能住宅であっても、危険な土地に建っていれば、住まい手はリスクを抱えたまま暮らすことになる。既に国土交通省が、長期優良住宅の認定基準に追加される「災害配慮基準」を検討中で、 立地の災害リスクも住宅の価値判断要素になってくる。
これから住宅を建てる土地が、本当に安全なのか―。「土地リスク」を事前に見抜く力が工務店に求められている。
新建ハウジング最新7月20日のトップ記事では、ホームインスペクション事業を展開する、さくら事務所のシンクタンク「だいち災害リスク研究所」所長の横山芳春さんが解説する熱海土砂災害の分析や、災害リスクの高い土地を見抜く方法などについて取り上げた。横山さんは「ハザードマップも完璧ではない」とし、地形から判断できる水害・土砂災害のリスクについて、具体的なポイントを挙げて解説している。
5面では、リヴ(京都府向日市)による中大規模木造の事例について取り上げた。同社は6月、京都市北区に市内産材を使用したツーバイフォー工法による木造4階建て(高さ約15m)・延べ床面積1730㎡の介護福祉施設を完成させ、運営企業に引き渡した。一次エネルギー消費量を基準から52%削減して「ZEB Ready」認証を取得した省エネ性に優れる施設だ。
同社で木造施設事業を統括する市川宣広さんは「福祉系の案件は高齢化社会も相まってコロナ禍による景気低迷の影響も受けず引き合いが増加している。事業者が経営的な側面から脱炭素やSDGs、 ESG投資といった点を重視する流れが加速している」と話す。建物の性能や設計上の特徴だけでなく、地域工務店が事業者から中大規模を受注するために必要な視点や、アプローチの仕方についても詳報している。【栁原潤】
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