井野優一、弱冠35歳。群栄美装・専務取締役―。
実質的に同社の経営のかじを握り、社員は現場監督を務める30歳の茂木大地さんのみという小さな工務店である。
「建築が好き。自社の家づくりの建築的なアプローチを磨き続けていきます」
こう話す井野さんは、純粋無垢な建築に対する想いだけでなく、若手経営者として「ビジネス」と「クリエーション」を高いレベルで両立させつつある。
同社は事業や経営規模の拡大にとらわれず、信念をもって己が実現したい家づくりを貫きながら、同時に経営の質も高めていくことを追求している。新建ハウジング編集部では、これを「Next Generation(ネクストジェネレーション)×Small excellent(スモールエクセレント)」と呼び、その実態を深掘りした。本紙7月10日最新号の1~3面で詳報している。
■透明の窓用断熱材が2023年度にも製品化
家づくりの既成概念を大きく変える、透明の窓用断熱材が2023年度にも上市しそうだ。
ベンチャー企業のティエムファクトリ(東京都港区)は、2012年の創業時から京都大学と共同で、エアロゲルという断熱性能の高い素材でつくる窓用の透明な断熱材として「SUFA(Super Functional Air、スーファ)」の研究開発を進めている。同社によれば、エアロゲルは熱伝導率0.012W/mKでグラスウールの約3倍とインパクトの強い断熱性能だ。
昨年5月には6.7億円の資金調達を実施し、茨城県内に自社の研究開発拠点を構えた。体制強化を図りながら、工務店業界への提案を全方位で拡大していきたい考えだ。同社社長の山地正洋さんは「2023年度には製品化を目指す。“透明窓断熱市場”を創造していきたい」と述べる。9面で、謎のベールに包まれているスーファについて、その製品が与える可能性や、今後の展開についてレポートしている。【栁原潤】
新建ハウジングとは
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。