一方、自治体や災害の研究機関などに属しておらずとも、素晴らしい仕事をしてSNSで共有されている方々も散見されました。ソフトウェア技術などはツールとして公開・販売されていいれば誰でもすぐに使うことができること(テクノロジーの民主化)、そして、成果をすぐに社会に向けて発信できること(SNSによる情報発信の民主化)がこうした動きに拍車をかけていることは明白です。
これは現地の様子をフォトグラメトリという技術を使って3D化したものです。フォトグラメトリとは、対象物を様々な角度・方向から撮影した写真をコンピュータで解析し、3Dモデルにする技術です。特に今回のように勾配がある地域の場合、救助や復旧の行動計画を立案するのに、2Dの地図よりも役に立ちそうです。
https://twitter.com/lileaLab/status/1411636606100938752?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1411636606100938752%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.risktaisaku.com%2Farticles%2F-%2F54898%3Fpage%3D3
この方は、静岡県が撮影したドローン映像から崩壊したエリアの3Dモデルを作成した上で、誰でも簡単に利用できる形で公開されています。また、専門家向けのDEM(数値標高モデル)データやオルソフォト(地理情報システムなどに正確に重ね合わせられる形式)についても提供いただけるようです。
2021年7月4日に静岡県が公開したドローン映像から作った伊豆山土石流災害の崩壊地の3DモデルをSktchfabに置きました。SketchfabからCCライセンスでモデルをダウンロードできるようにもしてあります。 https://t.co/WgylBGXEge pic.twitter.com/Zp3GboEfyL
— Yusuke Suzuki (@Y_Suzuki) July 4, 2021
どこか専門的な研究機関が行うのではなく、いわばボトムアップで知が蓄積され、誰でも利用ができるようになってきている様子を見ると、今後の防災テクノロジーの発展の方向性もおぼろげながらに見えてきます。各所に散らばったたくさんの「知」を「集合知」として現場に適用するには、それを統合するプラットフォームが必要になるでしょう。土石流についていえば、SNSでの情報や3Dモデルだけでなく、地面の動きや斜面崩壊を検知するセンサーや、地表の動きを感知する衛星から撮影した画像などもプラットフォーム上で組み合わさることによって、より効率的な防災や減災、そして災害の発生予測につなげていくことができるのではないでしょうか。
参考情報
防災情報のページ:土砂災害に備える(内閣府)
http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h27/79/special_02.html
本記事は、リスク対策.comの記事(2021年7月5日掲載)を転載したものです
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