LIXIL(東京都江東区)は、ドイツの樹脂押出成形メーカーのプロファイン社と共同開発した樹脂窓「EW」を8月1日に発売する。プロファイン社の樹脂リサイクル技術で樹脂フレームのリサイクル材使用率は従来品の約3倍。企業方針として掲げる住宅の高性能化と資源の循環利用の推進を具現化した製品で、脱炭素社会に向けた動きを同製品によって加速させる考えだ。「まずは、北関東以南(福島県含む)に限定して販売する」という。
LIXILでは、2026年3月期までに新築戸建て住宅の高性能窓比率を100%にすることを目標に掲げている。今年3月には「窓事業戦略」のもと、アルミ、樹脂、アルミ・樹脂ハイブリッドの全窓シリーズの刷新を発表した。全製品の性能を底上げし、住宅の高性能化を推し進める考えだ。5月には第1弾として、アルミ窓で国内最高水準の熱貫流率2.48W/m2Kを実現した「サーモスA」を発売。同社執行役専務の吉田聡さんは「窓の性能向上で日本の住宅のZEH化を後押しする」と意気込む。
世界トップクラスの0.79W/m2Kを実現
今回、第2弾として発表したEWは、トリプルガラス(クリプトンガス入り)で世界トップクラスの熱貫流率0.79W/m2K、Low-E複層ガラス(アルゴンガス入り)で1.27W/m2Kを実現しながら、デザイン性も追求。窓フレームをスリムにし、ガラス面積を増やし採光性、眺望性を大幅に向上させた。また、気密、水密、耐風圧性能も「最高水準まで高めた」(同社)とする。同社常務役員でLIXIL Housing Technology Japan サッシ・ドア事業部長を務める田村光宏さんは「特に気密性はJISのA-4等級を大きく上回っている」とし、断熱性能もさることながら、日本の厳しい気候風土に合わせて総合的に窓性能を改良した点についても強調する。
端材再利用率100%めざす
EWの大きな特徴は、資源の循環利用に配慮した点だ。プロファイン社の強みであるリサイクル技術を取り入れ、樹脂フレームのリサイクル材使用率を従来品(引違い窓)の約3倍と大幅に高めた。ホワイト端材は樹脂フレームのホワイト部分にリサイクルし、これまでリサイクル活用が難しかったカラー端材は下枠の外側から見えない箇所に使用した。同社ではさらに2023年3月期までに端材再利用率100%を目指す。
これまで課題だった樹脂形材の再資源化にも取り組み、フレームの表面ラッピングを樹脂形材と同じ素材にすることでリサイクルを可能にした。今後は、行政やリサイクル会社とも連携し、 官民一体となってドイツ並みの樹脂窓リサイクルシステムを構築していく考えだ。田村さんは「これからの日本や地球のためにという強い思いが醸成され、社員のモチベーションも上がっている」と話す。
EWの価格(参考)は、引違い窓・トリプルガラスの場合、フレームが木調色(チェリーW・オークW)の製品「EW for Design」が27万2900円、ピュアホワイトが18万7600円、引違い窓・Low-E 複層ガラスは11万3600円。EWシリーズは、現行品の「エルスター」シリーズから順次切り替えていくという。
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