新建ハウジングが運営する工務店向けオンライスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、池田 憲昭さんの「持続可能な森林業と木材産業」ルームからの記事です。
2003年以来、ドイツ、フライブルク地域を拠点に、ドイツ環境視察セミナーのオーガナイザー、異文化マネージメントのトレーナー、コンサルタント、日独プロジェクトのコーディネーター、専門通訳、執筆家として活動。
多面的な活動を包括し、さらに拡張し、深めていくために、2011年9月、Arch Joint Vision社を設立…
私の住む街に、広葉樹専門の製材工場があります。年間2万立米くらいを製材しています。広葉樹の多くは、その組織構造から、水が抜けにくく、製材したあと、数年間ゆっくりと自然乾燥させなければなりません。樹種や製材した板の太さにもよりますが、写真にあるような7cmくらいの厚みのオーク(ミズナラ)材であれば5年前後の期間が必要です。針葉樹の建築用材であれば、人工乾燥機を使って数日から2週間程度で乾燥され販売されていますが、広葉樹の場合は、急速に水抜きをすると材の品質が大きく損なわれるため、現在でも数年の自然乾燥が必須なのです。これは、製材工場にとっては、2年から7年という比較的長い期間、流動資産を大量に抱えて商売をするという、非常にリスクの大きい経営です。製材工場には絶えず2年間の製材量くらいのストックがあります。速さや効率がもてはやされる現代の市場においては、大きな挑戦だとも言えます。
しかし、製材工場の経営者には、特別な気負いはなく、昔からそうだから、自然のマテリアルの性質上、それしかやる方法がないから、そうやっているだけです。スピーディな市場の中でのスロービジネスです。ただそれを可能にしているのは、製材工場の力だけではありません。
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