新建ハウジングプラスワンの連載でおなじみの藤本修氏の連載を新建ハウジングWEBでスタートします。工務店の経営者である藤本氏ならではの本質的な視点で、工務店経営のヒントをお届けします(編集部)
工務店の場合の問いの立て方
なぜ我々は家を作っているのか。まずはここから考えてみる。私はそういったことを四六時中考えている人間で、結果として一工務店から、工務店のネットワークをつくり、「Rプラスハウス」という「ルールのある注文住宅」のシステムを作りました。それが「なぜ」に対する私なりの答えであるからです。
そのように、目的に対して自分の仕事を進化させていく中で出会う、つくり手とお客様との認識のズレについてお話ししたいと思います。
目的と手段を分けて考えましょう
「なぜ」を考えるときに、常に気をつけていて欲しいことがあります。目的と手段をきちんと切り分けて考えることです。
あなたがお客様に提供できることは何でしょう。その目的がはっきりしていないと、お客様に話は伝わりにくい。そしてその目的を達成するために、手段があります。
こうして書くと小学生でも分かっていそうなシンプルなことですが、自分のこととなると、意外と大の大人も混同してしまっていたりします。
お客様に家の性能について、技術的な説明をするとします。それは、何のための技術なのか。何の役に立つのでしょうか。
たとえば高気密・高断熱化という技術があります。その技術は、話の聞き手であるお客様にとってどういう利益をもたらすのか。そういった具体的な利益というか、はっきりした目的がないと、いくら説明しても話が伝わらない可能性が高いのです。
工法や数値、歴史的な経緯を正確に、事細かに語ったとしても、お客様は耳では聞いていても理解も納得はしていない。むしろ、そんな技術的な知識のない受付の女性の「このお家は、冬でも家全体が暖かくって、朝起きるのがすっごいラクなんですよ」なんていう実感のこもった言葉の方が、その価値をすとんとわかってもらえたりします。それで「快適な生活を送りたい」というお客様の目的がかえなえられることが分かるからです。
それがわかって、初めて、「で、どうやってやるの?」という話になってくる。
つくり手とお客様との間の認識のズレはいろいろとあります。一般的な工務店の考える良い家とお客様が求めている家は、往々にして内容が違っています。その乖離やズレが、同じように良いモノを作っていても、売れる・売れないを左右しているのです。
以下具体的にご説明していきます。
Pages: 1 2
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。