MSJグループ代表の鵜澤泰功さんによるWeb連載。今回は住宅産業における「スマイル・カーブ」化について論じていただきます。全文はフリーマガジン「未来通信」でお読み頂けます。また、新建ハウジングプラスワン2012年4月号でも抜粋を紹介しています。今後も新建ハウジングWEBにおいてシリーズでお届けします(編集部)
第1章 スマイル・カーブ化とは
アップルの強さの秘密
iPad に iPhone、iPod…多くの人が今一番欲しい商品では ないだろうか。どれもコンパクトで高性能、 いかにもアップルのブランドイメージを体現したカッコいい製品ばかりである。しかし冷静にその中味を見ていくと、実はアップル固有の技術というものが製品に投影されていないことに気づく。
かつてソニーは「ウォークマン」製品化の過程で、それこそ血の滲むような努力を続け、部品の合理化や小型化などを行い、その積み重ねによって製品全体の小型化を実現 した。しかし、アップル商品にはそうした「モノづくり」の面における努力の痕跡や技術的な進化の跡は見られない。
もちろんコンパクトでカッコいい端末に最大で 64GBものデータ容量があることは画期的なイノベーションといえるが、そのメモリー自体は韓国のサムスン電子が供給しているものだ。また、アップル製品の大きな特徴となっている独特のデザインを実現する加工技術も外部の委託企業が 支えている。
端的に表現すれば、アップルの商品とは、「モジュール 化」されたデバイスの寄せ集め、カッコよく化粧された半導体(メモリー)や液晶ディスプレーの固まりそのものである。
それではアップルが果たしている役割とは何なのだろうか。
それは、まず製品そのものを開発したこと、そして iTunesやAppStoreといった音楽や映画、アプリ等コンテンツのネット販売のビジネスモデルを立ち上げ、将来にわたってモデルを通じて利益を上げる仕組みを構築したことにある。つまり、アップル最大の功績は、新たなコンテンツ流通の仕組みを作り上げたところにある。
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