YKK AP(東京都千代田区)は、電気錠一体型の玄関ドア「スマートドア」に、新たに「顔認証キー」による施解錠や、専⽤アプリによりスマートフォンを鍵として使⽤する技術を採用し、利便性とセキュリティ性を⾼める「新スマートドア」を発売する。同社によると、国内の戸建住宅用玄関ドアに顔認証キーを搭載したのは、業界で初めて。6月22日、同社が開いたオンライン記者発表会で、その詳細が明らかにされた。
スマートドアは、電気錠の機能をドアハンドルに一体化させたスマートコントロールキーを標準搭載した玄関ドア。これまで、専用カードか小型リモコンで、開錠・施錠する形式だったが、今回の新技術によって、顔認証による手ぶらでの施解錠が可能となった。施主は鍵を持ち歩く必要がなくなる。新たに開発した「顔認証キー」は10月25日に発売し、同社の「断熱⽞関ドア『ヴェナート D30』」から先⾏展開する。玄関ドアや引き戸などの他のシリーズについても順次展開を進める。従来型の各種キーも仕様変更し8月23日に発売する。
同社住宅本部・住宅事業推進部によると、スマートドアは2012年に発売してから、今年5月時点で同社玄関ドアの全体に対する販売構成比は68%と手動錠(同32%)を大きく上回っているという。
セキュリティ対策も強化している。室外側ユニット内の2つの内蔵カメラによって、口、目、顔の形状、深さなど顔の特徴を立体的に捉える生体認証の技術を採用し、なりすましや写真などによる不正解錠を防止する。顔センサーの取り付け高さは、子どもから大人の背の高さまでの認証を可能にする130㎝としている。顔の最大登録人数は20人。
顔認証キーが搭載されたスマートドアは、今後はヘルスケア分野などでも活用が期待される。在宅医療や訪問介護を受けている施主や、要介護者がいる家族は、定期訪問する訪問医や看護師、ケアマネジャーなど家族以外に合鍵を渡しているケースがある。預ける側のセキュリティ面の不安や、渡される事業者側の管理問題などがネックだった。顔認証キーを導入することによって、関係者を登録すれば鍵を渡さずに訪問するのが可能となり、訪問者の履歴も全て残すことができる。
同社が、3年以内に住宅購入の意向がある生活者に対して実施したアンケート調査によると、顔認証を含む生体認証に関心を示す人は65.7%だった。
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