総合地球環境学研究所(京都市)はこのほど、森林が伐採された後、国内外でのサプライチェーンを通じてどの国の消費者に辿り着くのかという過程について地図化し発表した。
これまで、先進国による製品の消費と森林伐採との関係は明らかになっていたが、製品の消費やサプライチェーンに関連する森林伐採がどのような分布になっているのかはわかっていなかった。そこで同研究所では、貿易と森林伐採がどのように結びついているのかを理解するため、森林喪失の高解像度データ、森林喪失要因(森林が伐採された後、どのような用途に土地が利用されたのか)の空間分類、および詳細なグローバルサプライチェーンモデルに関するビッグデータを使用して、2001年から2015年までの森林伐採の実態を地図化した。
サプライチェーンやマップを分析した結果、日本や他の先進国は木材や農作物の輸入を通じて世界各国で森林減少を引き起こしていることがわかった。また、カナダを除くG7各国は、国内の森林は増加させている一方で、輸入を通じて、増加を上回る面積の森林を他国で減少させてきたことも明らかになったという。
日本について見ると、日本の消費者は、2015年の1年間で一人あたり平均2.22本の国内外の森林伐採を引き起こしており、そのうち2.07本は海外分になるという。
今回の研究結果から同研究所では、多くの先進国は、自国での森林面積を増加させるだけでなく、サプライチェーンを通じた国外での森林伐採の減少に取り組む必要があるとし、そのためには、FSC認証の木材を使う、森林伐採を伴っていない農作物の意識的な消費、森林から受けている直接的ではないサービスのための費用の支払いなどが必要だとしている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。