新築住宅の省エネ基準適合の推進を具体的に可視化してみる(温対計画編)
第7回再エネTF提出資料「地球温暖化対策計画における炭素排出削減量の算出根拠について」によると、2016年の対策案立案時は、無対策ケースと対策ケースの差を「住宅の省エネ基準適合推進対策」の成果として評価したという。
また、資料には、はっきりと「再生可能エネルギーの導入にかかわる効果は別途計上される前提でエネルギー消費量には織り込んでいない」とあるため、太陽光発電の自家消費を除いた、断熱と設備の高効率化のみのエネルギー消費削減効果で計算したことになる。
この計算方法が正しいとすると、戸建て住宅の場合、現行の省エネ基準を上回る一次エネルギー消費量の住宅(H4基準以下)を減らすことが、最も有効な対策と言える。そして、対策のもうひとつの柱である高性能住宅への誘導により、「省エネ基準超」の住宅で、11GJ/戸の削減が期待できる。
2016年の案では、省エネ基準の義務化の効果が最優先で、次いで高性能化の誘導という順で考えられていたことになる。
2010年度における、断熱性能のグレードごとの住宅ストックの数が、30年(20年後)までにどう変化していく想定だったのか。グラフ化すると、以下のようになる。
2020年には、省エネ基準が適合義務化されるはずだったので、省エネ基準以上が100%に達する。30年(年間77万戸の想定)には、省エネ基準超(BEI=0.8)が100%(省エネ基準がZEHの外皮基準相当にレベルアップ)となっている。
ここまでの計算結果をまとめてみると、住宅全体の一次エネルギー消費量は2010年の5153PJに対し、温暖化対策によって2030年、削減量は一次エネで250.2PJ(原油換算645.4万キロリットル=CO2削減量1690.3万t)となる。日本の2010年のCO2排出量が14億8千万tなので、削減率は1.1%。
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