ウッドショックの先行き不透明感が極めて強い。いまだ終息の兆しが見えていない。
新建ハウジング編集部が取材を進める中で、当初は複数の工務店が「うちは大丈夫」と、楽観視する声も一部からは聞こえてきたが、そうも言っていられない状況になりつつある。
全国建設労働組合総連合(全建総連)は、このほど全国の組合員工務店(166社回答)を対象に、ウッドショックが及ぼす影響について調査を実施した。
工務店は木材の価格変動にともなう契約金額の変更や工期遅延について、顧客の合意を得る必要がある。しかし、同調査によると17%が新築工事の既契約について「変更できない」と回答し、その理由について、47%が「契約変更を求めたが合意を得られなかった」と回答している。
一方、見込み契約への影響については、49%が「工期が確定できない」「請負金額が決められない」、21%が「プレカットの見積もりが取れない」などと回答した。
全建総連の担当者は「組合員は年間2~3棟の小規模事業者が多く、そもそも木材の調達力が弱い。仮に今のような状況が続けば、生活者の受注控えや、それに伴う資金繰りの悪化など負のスパイラルに陥ってしまう」と危機感を示した。最新20日号の1~2面では、同調査結果を詳報しているほか、米国の住宅着工状況を踏まえた上で、今後の見通しについて追っている。
3面では、JBN内に設置している国産材委員会の委員を務める木村司さん(木村木材工業・社長)に、長期化が見込まれるウッドショックの動向や対策についてインタビュー。木村さんは「今後、輸入木材の供給量が回復しても、国内価格は元に戻る可能性は低い」「ホワイトウッドやレッドウッド集成材はあてにしないこと。工務店は価格だけではない世界に足を踏み入れて、地域の森林循環に貢献する持続可能な経営に移行すべき」などと認識を示した。
7面では、大分市の地域工務店SAKAIの「アフターコロナ戦略」について紹介している。13日には県の新型コロナの新規感染者がゼロを記録し、コロナ禍が収束へと向かっていくことに期待感が高まっている。そんな中で、同社は感染対策を徹底しながら、対面での営業・提案手法に大きく舵を切った。同社社長の臼井栄仁さんは「旧来型の集客はやめた。生活者が自ら集まってくれる実験的な取り組みを始めている」と話す。一体どんな戦略なのか、その実態を深掘りしている。【栁原潤】
新建ハウジングとは
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。