脱炭素で持続可能な社会をつくっていくことを目指すNPO法人「気候ネットワーク」(理事長:弁護士、浅岡美恵)は6月14日、イギリスのコーンウォールで開催されたG7サミット(主要国首脳会議)を受け、日本は2030年までに国内の石炭火力発電を全廃するよう同団体のホームページで求めた。
今月11〜13日に開催されたG7でCOP26(気候変動枠組条約第26回締約国会議)の議長国でもあるイギリス政府が気候変動問題を重要課題に挙げた。
産業革命前からの気温上昇を1.5℃に止める目標に向けて、温室効果ガス排出を2050年よりも可能な限り早く、遅くとも同年にはネットゼロ実現を目指すこと、2030年目標の引き上げを含むNDC(国別約束)をまだ再提出していない国は、11月に開催されるCOP26の前に可能な限り早期に再提出することを約束した。
サミットでは石炭火力発電は重要な論点であり、気候変動の最大の要因は石炭火力であることが明記され、石炭火力への国際的な公的支援について、5月のG7気候・環境大臣会合の合意よりも踏み込み、2021年中にやめることに合意した。
声明では「日本政府は長い間、中国に次ぐ規模で東南アジアなどの大型の石炭火力発電へ支援を継続し、大きく問題視されてきたが、これで日本も例外もなく石炭火力輸出を完全に終える転換点となる」と説明。
また、JICAがこれから本格支援をしようとしているバングラディシュのマタバリ2石炭火力発電所とインドネシアのインドラマユ石炭火力発電所の2つのODA案件に関して、14カ国39団体のNGOが7日、共同で上記の2つを含む海外化石燃料事業への公的支援をやめるよう日本政府に要請するよう声明を出していた。
しかし、実質的にはもう新規計画は見込まれないことから、「本合意を受けて政府が対応すべきは、2つのODA案件をやめることで、速やかにその決定をすべき」と強く求めた。
G7気候・環境大臣会合で日本は、国内石炭について、脱炭素化対策のない石炭火力設備からの移行を加速させる技術や政策の急速な拡大と2030年代の電力システムの脱炭素化を約束していたが、サミットでは具体的な時期を示し、全廃方針を打ち出すことはしなかった。
この動きに対して、「国内のエネルギー事情などを理由に、脱石炭に舵を切ることに強く反対を続け、時期を明示することも全廃にすることにも抵抗し、脱石炭へ舵を切る準備が全くないことを露呈した」と批判した。
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