気候変動対策が国際的に、きわめて重要な課題となっている今、日本も「脱炭素」に本腰を入れて取り組まねばならない。
エネルギー消費の大部分を占める住宅・建築物も、脱炭素への貢献が求められている。
「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」でも議論が続いているが、省エネ基準の適合義務化程度で話は終わりそうだ。
しかし、エネルギー問題の専門家や、住宅の高性能化に取り組んできた団体のリーダーたちからは、より高いレベルの基準を求める声があがっている。新建ハウジングではこのほど、あり方検討会の内容や、住宅の脱炭素化施策について、各所から意見を募った。6月10日号の1~2面で、その一部を紹介する。
現行の省エネ基準では不十分、ZEHやHEAT20を基準として義務化すべき――そんな意見が大部分を占める。
「現行の不完全な物差しは改めるべき」(森みわ・パッシブハウス・ジャパン代表理事)のように、日本の基準の不備を指摘する、厳しい意見も。工務店でも理解しやすい「見なし仕様基準」(鎌田紀彦・新木造住宅技術研究協議会代表理事)や、性能表示を「それら(HEAT20やZEHなど)を想定した等級表示に抜本的に改正する」(坂本雄三・ZEH推進協議会代表理事)提案など、とかくわかりにくいと言われる基準や制度の改善案も多数寄せられている。
小さな工務店でも、家づくりを通じ脱炭素に貢献できるはずだ。2030年に向けた道しるべのひとつとして、ぜひ多くの方にお読みいただきたい。【編集部 荒井隆大】
3面では、住宅ライター大菅力氏による連載「最小人数で生き残るnano工務店の経営術」で、佐藤工務店(埼玉県上尾市)を取り上げた。構造計算や温熱計算を自前で行い、社員大工が断熱気密や防水、通気などを施工していく技術力の高い同社を紐解いた。技術的な進化を追い求める姿と、それを施工に落とし込む現場の体制づくりは、nano工務店が地域で生き残るためのエッセンスが凝縮されている。
9面では、今号からの新連載「非住宅木造 ナリワイ化への道」がスタートした。非住宅・中大規模木造に特化した構造計算を手掛ける木構造デザイン(東京都港区)社長の福田浩史さんによる連載で、設計や施工の勘どころから、集客・営業手法まで解説しながら、工務店による非住宅の“ナリワイ化”への道筋を示している。
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