造作家具は空間を効率的に活用し、暮らしやすさを高める。一方でコストアップの要因にもなる。フラグシップ(富山県砺波市)は大工技能を生かしつつ過度につくり込まない造作家具を得意としている。流し台と洗面台を中心に、造作家具の勘どころについて代表の橘泰一さんに話を聞いた。
つくり込み過ぎない家具
予算を効率的に配分するには造作家具の費用を一定範囲に抑える必要がある。大工人工が嵩まないように材料や接合方法にも配慮する。同社では大工が扱いやすい材料を用い、ビスケットジョイントやビス止めを基本とする。同様に木口の大手貼りもなるべく省略する。多少ラフな納まりでも現場で採寸・加工し、逃げのないように施工するとよい雰囲気にまとまる。
同社が多用する材料はシナランバーコア21mm厚とアカマツフリー板20mm厚。ランバーコア芯材のバルサが柔らかく、ビスが抜けやすいため、一般に造作家具に用いられる18mm厚ではなく21mm厚を使用している。ランバーコアとフリー板は主に表面材の表情で使い分ける。表から見えない箱組などにはより安価なランバーコアを用いることが多いが、在庫の状況によっては両者を併用する場合もある。
フリー板はビスが効きやすく強度もあり、木口もそのまま見せられるので便利だ。同社では窓枠に25mm厚の地元のスギを用いているが、その寸法と揃うので意匠的にもまとまりやすい。フリー板は樹種が豊富だが、床板に用いるスギとの相性でアカマツを用いている。このほか意匠性を高める場合にスギ柾修正フリー板25mm厚を使う。
流し台や食器棚の基本的な構成
キッチンにおいては流し台と作業台兼食器棚を前後2列に配置するか2面の壁を使ってL字に配置することが多い。流し台の奥行きは650~700mm、作業台兼食器棚は450mm、吊戸棚は300mm程度だ。ビルトイン機器は食洗機とシンク、IHクッキングヒーター(IH)を組み込むのが基本だ。
この記事は定期購読者限定の記事です。続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン1・2月号(1月30日発行)空間の質を高める造作家具&建具』に掲載しています。
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