NPO法人環境共棲住宅「地球の会」(理事長=安成信次・安成工務店社長)は6月15日に、第11回「日本の木の家づくりサミットin東海」をZoom配信でオンライン開催する。同サミットは、工務店会員の総勢63社が、約1年半かけて共同研究してきた事例やノウハウを発表するほか、今年は「地域のイノベーター」に光を当て、「営業」「設計」「工事(現場監督・大工)」の各分野で活躍する若手8人が登壇し、競争力の源泉と、手法について、余すところなく公開する。加盟社以外の工務店も参加可能で、現在、全国から約400デバイスからの申込みが来るなど、話題を呼んでいる。同会は反響を受け、先月末までだった申込み期限を、今月10日まで延長することを決めた。
2年に1度開催される地球の会のサミットは、コロナ禍では初開催となった。これまで計10回開いたサミットでは、経営者や幹部層にフォーカスした内容であったが、今年は「現場」に着目した内容になっているのが特徴だ。
大テーマは『地域で強烈な光を放つイノベーター 競争力の源泉を紐解く』。同会副理事長で、同サミットのリーダーを務める鷲見製材社長の石橋常行さんは「これまで講演会や大会は、参加費や交通費、宿泊費を考えると全社員を参加させることは難しく、コストを考えると社員の参加は難しかった」と振り返り、「ただコロナによって、コストが掛からずに会社から、誰でも参加できるようになった。現場の前線で活躍する若手イノベーターに光を当てることで、同世代の各社社員のモチベーションを高めるだけでなく、具体的な成功事例を目の当たりにすることで、成長にも繋がる機会を提供できる」と述べる。
具体的には、営業、現場管理、大工、設計者、設計事務所-の各職種に分かれて、計8人の若手が登壇し、それぞれのイノベーション事例を元に、「国産材住宅の活路」を示す。営業では、安成工務店・山口支店店長の廣瀬宏幸さん、同社同支店リーダーの藤本久美子さんが、顧客の心に刻まれる「チーム営業の極意」について発表。現場管理では、新産住拓・工事部の農上ひかりさんが「女性現場監督の決意とビジョン」、エコ建築考房・執行役員で工務部部長の武藤邦弘さんが「ミスター現場管理の仕事術」に関して語っていく。大工では、小林住宅工業・管理部部長の土屋正子さんが「女性大工の目に映る業界の今とこれから」について述べる。
■工務店の次の一歩を後押し
設計では、鷲見製材・設計部主任の中島一将さん、同社・中川沙季さんが「目指せ!感動を生む設計」について発表する。一方、設計事務所からは、半海宏一建築設計事務所・代表の半海宏一さんが、工務店と建築家の住宅設計の関わり方について「提言」する注目の講演だ。
石橋さんは「新型コロナによって先行き不透明な世の中になった。しかし、こういった危機的状況であっても、確実にポストコロナを見据え、変革を推し進めている全国の仲間たちがいる。そんな同士たちと密度の濃い情報共有を進めていきながら、参加する工務店が、次の一歩を踏み出す機会になれば嬉しい」と語る。
同会は、総勢63社の加盟社が「生産性向上」「CS右肩上がり」「工務店のWEB育成戦略研究」の各分科会と、「SDGs」「大工・職人」「採用」の各委員会において、地域工務店に共通する課題の解決や発展を目的に、加盟社が、先進事例や実践的な経営ノウハウを研究、共有している。同サミットでは、各分科会と委員会のリーダーが、これまでの調査研究を公表する。「工務店の家づくりを全国の仲間たちと共に底上げしたい」(石橋さん)という考えから、加盟社以外にも全てのセッションを公開させる。同サミットの参加費や各セッション内容などの詳細はここから確認できる。
地球の会は、今後も新たに活動を共にする仲間を募集している。基本的に、地域で環境共棲を軸にした国産材の家づくりをしている工務店が対象であるが、石橋さんは「今は国産材を使っていなくとも、今後取り組んでいこうという意欲ある全国の同士(工務店)であれば歓迎したい。ともに切磋琢磨することで知見を共有し合い、日本の家づくりを高めていければ」と語った。
各種問い合わせは「地球の会」事務局まで 06-6292-8121
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