使う電気は自分でつくる世界に
小山:そろそろ太陽光の話もしようと思います。今日、検討会の村上(千里・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会環境委員会委員長)委員からだったと記憶していますが、FITで一定の経済的なメリットがあるにもかかわらず、複数の団体からメリットはない―例えば雨漏りなど―と提起されたというご発言がありました。
確かにネガティブな意見は多かった。しかし、どこかで誰かが発言されてもいいと思いますが、そもそも非化石電源100%にする前提なら、今から全ての新築住宅・建築物に太陽光発電を載せていかないと間に合わないぐらいの状況です。
断熱ももちろん大事で、断熱を優先すべきだとは承知しておりますけれども、未来からバックキャスティングすれば、今日から断熱も太陽光も義務化しないと間にあわない、というのが科学の知見であることは、これを見ていらっしゃる方にはぜひお伝えしたいと思います。
もっと言うなら、2015年のパリ協定の時から義務化してもよかったくらいなんでしょうけれども。夏休みの宿題に例える人もいらっしゃいますが、これまでやってこなかった分、急激に減らさないといけない。
前:今は8月30日ぐらいの感じでしょうか。
竹内:冷静に考えれば間にあわない感じ。
小山:雨漏りについても、2団体ぐらいから話がありました。でも「雨漏りしないように施工をすればいいだろう」って思うんですよ。自分たちに施工責任があるわけですから。
竹内:人をつつくようで悪いけど、日本のエネルギーの1/3を、我々住宅・建築業界が使っているんですよ。電気に至っては70%も使っているんです。これからの世の中、電力消費量はどんどん増えていく。自動車も電気になるし。
この電気を、誰がどうやってつくるんだって言ったときに、自分でつくってくれよっていう話になると思うから、今やったらいいんじゃないですかね。
前:太陽光は2012~13年、爆発的に普及しましたが、その後落ち込んで今は1/3にトーンダウンしてしまったわけですよね。日本メーカーはほとんど生産から撤退している。
竹内:それは、電力の買取価格が安くなったからですよね。自家消費すればいいんですよ、やっぱり。今、買取単価は19円ですけど、電力会社から買ったら1kWで20何円でしょう?
前:そうですね、30円近いですね。
竹内:30円近いですよね。それと比べたら、太陽光ほど元の取れるいい金融商品はないって感じですよ。
小山:その通りですよね。
前:太陽光が一過性のものになっちゃったんでしょうね。本来、当然のもの、標準にしなければいけなかったのが、一瞬だけブームになって、終わった商品になってしまった。一時的なブームで終わったっていうのが、太陽光なんですよね。本当は当たり前にしていく努力をしていかなければいけなかった。
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