新建ハウジング5月30日号のトップ記事では、“2050年のカーボンニュートラル”の実現に向けて、国交省、経産省、環境省の3省により設置された「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」の第2・3回の議論の模様や両回の後に、出席委員らを招いてオンラインで行った公開取材の内容を掲載している。
検討会の第2回では、業界団体からヒアリングを行い、省エネ基準適合義務化に対しては各団体から好意的な声が多かったのに対し、太陽光発電の設置義務化については疑問の声もあがった。第3回では、省エネ基準を段階的に引き上げていくことなどを盛り込んだ、議論のたたき台も示された。
検討会の委員を務める竹内昌義さん(東北芸術工科大学教授)のほか前真之さん(東京大学大学院准教授)、小山貴史さん(エコワークス社長)の3人の“キーマン”に対して行った公開取材では、工務店など住宅業界のプレーヤーに対し、ゲーム(試合)のポイントがすでに脱炭素に変わっていることを意識すべきだとの指摘があった。
今後は、さらに、脱炭素社会の実現に貢献する住宅のあり方を具現化するための議論や施策が加速する。工務店は、その行方をウォッチしながら、遅れを取らないよう準備を進めていく必要がある。
3面では、国内でも深刻化しているアメリカカンザイシロアリによる被害への対策として、全構造材をホウ酸処理して東京都内に完成したモデルハウスを紹介した。同モデルハウスには外部機関との連携により、50年間という長期のシロアリ保証が付けられている。顧客の安心感・納得感を得ながら実現する高耐久住宅のモデルケースとして注目だ。
4面では、ドイツ在住の森林コンサルタント・池田憲昭さん(Arch Joint Vision代表)による新連載「サステナブル建築談話Fromドイツ」をスタートした。サステナビリティが根付くドイツの環境や建築、エネルギーなどに対する考え方を事例などを交えて解説していく。
16面では、全国古民家再生協会が新たに始めた、空き家となっている古民家を他地域に“輸出”するプロジェクトを紹介。空き家を有効に利用しながら、貴重な伝統的な建築様式や技術を後世に継承していく仕組みとして、注目されている。【編集長・関卓実】
新建ハウジング編集長・関卓実
長野県出身。長野県の建設専門紙「新建新聞」の記者、編集長を務めた後、2018年より本紙編集長。
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