帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、経済産業省・資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者」に登録された企業のうち、みなし小売電気事業者(旧:一般電気事業者)を除く「新電力会社」706社について経営実態調査を実施し、その結果を発表した。4月7日時点で「新電力会社」は全国に706社。2018年に実施した前回調査(497社)比で209社(42.1%)増加した。
706社の設立時期を見ると、東日本大震災が発生した2011年以降に設立した企業が389社(構成比55.1%)と半数以上を占める。電力小売り自由化が始まった2016年4月以降、業界に参入する企業は年々増加しており、近年では2ケタペースで社数が増えている。
売上規模別は、「10億円以上100億円未満」(181社、構成比25.6%)が最多。以下「1億円以上10億円未満」(114社、同16.1%)、「100億円以上1000億円未満」(103社、同14.6%)と続く。電力小売り自由化が浸透するにつれて、新電力事業を主業に据えるベンチャー企業が数を増やし、その半数が順調に業績を拡大させている。
一方で、業界の価格競争も激しくなっている。また、昨年12月から今年1月にかけて電力卸売価格が急騰した。これらを受け、インバランス料金もしくは再生可能エネルギー卸供給に係る料金の分割払いの猶予措置を利用している企業は、全体の約4分の1となった。
帝国データバンクでは、「経済産業省は電力会社への支払いについて、分割払いを認めるなどの特例措置を取っているが、会社更生法の適用を申請したF-Powerのようにインバランス料金の支払いのメドが立たず、倒産に至る新電力が今後出てくることも予想されている」として、業界全体の制度見直しも含め、新電力業界の今後に注視が必要としている。
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