現場に行かずに、事務所や自宅に居ながら、リモートで施工管理をする――。
そんな未来が訪れようとしている。
明日発行の最新20日号トップ記事では、設計担当者や現場監督、職人らがスマホなどから、クラウド上のVR空間で現場の状況を確認・共有できるソフトウェア「Log Walk(ログウォーク)」について取り上げた。
開発したのは、神奈川県藤沢市の工務店ecomo(エコモ)の関連会社、log build(ログビルド)。6月中旬にも全国の工務店に展開する意向だという。
「令和で技術革新がこれだけ進んでいるのに、昭和からずっと現場管理の実態は変わっていない。工務店は現場監督が車で移動している時間の業務価値を見つめ直すべき。遅かれ早かれ、現場をデスクで管理する時代は絶対に訪れる」(同社社長中堀健一さん)
ログウォークは360度カメラと同社が独自開発したアプリを連携させて、現場を一周歩きながら撮影するだけで、専用プラットフォームにVR空間が自動生成される。刻々と変化していく施工現場を死角なく360度撮影できるだけなく、家づくりの全ステークホルダーとVR空間でチャットしたり、修正図面や写真データ、動画を挿入したりして施工上の指示を出したりして、問題箇所を指摘できる。現場に行ったり電話やメールなどでやり取りしたりする必要がなくなり、VR空間でリアルタイムにコミュニケーションが取れる。
テスト導入した工務店では「1物件あたり現場監督が現場に行く回数は平均50回から25回まで減らした」(同社ディレクター國吉慶太さん)事例があり、現場監督の移動時間を削減することで、本質的な業務の質を向上させることができている。
一体どんなソリューションなのか。現場管理の実態や問題点をすくい上げながら、地域工務店の先行事例についても取り上げ、明日発行の1~2面で詳報している。→予告編の動画を公開中
3~4面では、前号に続きウッドショックについて特集。林材ジャーナリスト赤堀氏による2回目の寄稿で、今後の国内の供給体制について分析してもらった。赤堀氏は「林業が営まれている山間地域に余剰な労働力はなく、すぐに増産するのは難しい。制度的にタイムリーな増産がしづらいという事情もある」と業界特有の問題点を指摘した。
4面では、本紙が4月16~28日に、全国の工務店・住宅関連事業者を対象に実施した独自アンケート調査について取り上げている。73.7%が「影響を受けている」と回答し、さらに詳細なデータを見ると、「工期の遅延」「着工や上棟の延期、今後のめどが立たない」が、それぞれ約4割を占めた。木材の供給側は、すでに減産や生産量調整に踏み切っており、今後も現場や受注への影響は続くとみられる。【栁原潤】
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