田中工務店(東京都江戸川区)では、15年前からオリジナルの家具や建具を自社の家づくりに取り入れている。現代のモダンな住宅に溶け込む、スタイリッシュなデザインを追求しながら、異なる素材の組み合わせでアクセントをつける、同一のデザインで雰囲気を変えるなど、素材の特性を生かした家具・建具づくりに取り組む。社長の田中健司さんは、木材、金物などあらゆる部材の「素材感」を意識しているという。
サイズに合った材厚を
同社が造作でつくっているのは、玄関収納や本棚、「ムカデ収納」(小上がり和室の畳下収納)、キッチンと食器棚など収納を中心に、TVボードやベンチ・ソファー、カウンター、置き家具ではテーブルや座卓など多岐に渡る。ドアや戸、障子といった建具も自社でデザインしてつくっている。
家具のデザインは、プランと並行して進める。プランが決まっていくと、造り付けの家具の位置も自ずと決まる。あとはそれを立体的なものにすればよい。置き家具も、例えば狭い空間なら周りに余裕をつくるため、丸テーブルにするなど、プランから大きな影響を受ける。
設計の際に田中さんが気を付けていることのひとつに「材の厚み」がある。基本はランバーコアの21mm厚だが、Jパネル30mm厚や、同じく30mm厚の無垢材を幅はぎにして使うことも。薄いほどかっこ良いのではなく「寸法が大きければ、厚みのある板材でも良い」(田中さん)。大切なのは、家具の大きさに対し、バランスの取れたものになっているかどうかだ。
無垢ならさまざまな樹種混在もOK
田中さんがよく使うのが、収納やカウンターの「天板」の樹種をアクセントにするテクニックだ。特に収納は、形が箱型で単純なだけに、天板の樹種で濃淡を変えることのインパクトは大きい。
過去の事例では、吹き抜けに面したワークカウンターの天板として、耳付きのブラックチェリーを採用。あえてラフな仕上げの材を使って「素材感」を強調した。建具でも、一部の材を変えるのは効果的。フラッシュ引き戸の手掛けを違う材でつくることも。アクセントとしては、重厚な広葉樹が効く。
⇒ 続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン1・2月合併号(1月30日発行) 空間の質を高める造作家具・建具』に掲載しています。
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