ほしかわ工務店(群馬県高崎市)は6人の社員大工を擁し、子育て世帯の暮らしの価値観をくみ取りながら、大工技能を生かしてつくる家づくりで定評がある。既製品の建材・設備を当たり前に使っていた下請けメインの経営を転換、家具と建築が一体となった家づくりを強みに、大規模改修も含めてこだわりの住宅を年間10棟ほど手掛ける。
家具から始まる家づくり
同社専務として実質的に経営を切り盛りしながら、大工として後進の育成にも当たる干川彰仁さんが、最近、手応えを感じているのは、同社の家具をオーダーで製作できる体制を見込んで家づくりを依頼してくれる顧客が増えてきていることだ。特に造作ソファーは「風景がいいところ、くつろぎたいところ」など建築空間にあわせてしつらえることで価値を高めることができる家具で、住まい手のこだわりが大きく、オーダーのニーズが高い。
「お気に入りのブランドの生地でソファーをつくりたい」。そんな施主の希望に応えたところ、その施主のSNS投稿を見た人たちから問い合わせが相次ぐ。OB顧客から、家具単体の受注ももらえるようになった。干川さんは「家具と建築が一体のものという感覚が、当社が手掛けた住宅の住まい手に浸透しつつある」と語る。
家具のメンテナンスも責任
干川さんが造作の家具や建具にこだわるようになったきっかけは、家具デザイナーの小泉誠さんが参画する「わざわ座」との出会いだ。地域産のスギやヒノキ、Jパネル(スギ積層パネル)を使って、それまでは難しかったダイニングテーブルやチェア、スツール、ソファーなど幅広く大工の手で造作できるようになった。「既製品をできるだけ使わない」と決断することで、自社大工のクリエイティビティーを生かせる範囲が大きく広がった。
⇒ 続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン1・2月合併号 空間の質を高める造作家具・建具』に掲載しています。
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