建築物の金属製内外装工事を手がける菊川工業(東京都墨田区)はこのほど、デザインの専門学校である桑沢デザイン研究所(東京都渋谷区)の専任講師・大松俊紀氏との協働により、「世界に1つだけの椅子・Shades of “X”」を製作し、4月から桑沢デザイン研究所内に設置したと発表した。
コラボレーションプロジェクトの第3弾で、アルミニウム板に職人技による三次元曲面加工を施すことで、表面の流れるような表情を実現している。3つのパーツで構成されたラウンジチェアは、座面と脚の着脱が可能。座る際の荷重に追随しながら全体として安定した構造で、100kgの重さにも耐えられる。
座面とその下の2枚目のアルミニウム板は4mm厚を三次曲面加工し、3枚目の脚は4mm厚・10mm厚のアルミニウム板を二次曲面加工し溶接した。仕上げはアルミニウムの質感を活かす、HL(ヘアーライン)研磨+クリア塗装。桑沢デザイン研究所の2020年度教員研究助成金により製作された。
同社は、創業以来の経験と職人技をノウハウとして蓄積。近年は、3Dデータを活用したレーザー溶接・切断などの先端技術や、インクリメンタルフォーミングなどの先端加工を導入・研究し、融合させて製作を行っている。また、3D-CADの対応力・実践力を含めた設計技術から施工技術までの総合力によって、さまざまな三次元形状の要望に対応。品質を確保した技術提案を行っている。同プロジェクトでは、昔ながらのたたき出しによる職人技で、三次元加工を施した。
同プロジェクト第1弾「Shades of Michelangelo」では、最先端の成形加工技術「インクリメンタル・フォーミング」によって楕円状の背板を成形した「一品物」の椅子を製作。第2弾「Shades of Brunelleschi」では、最先端の溶接技術「ファイバーレーザー溶接」を駆使し、円弧状になっている座面が浮いている椅子を製作した。
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