気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどのネットワーク「気候変動イニシアティブ」(JCI)は4月21日、都内で「パリ協定を実現する野心的な2030年目標を求めるJCIメッセージ」記者会見を開催した。
4月19日にJCIの末吉竹二郎代表は菅義偉首相、茂木敏充外務相、梶山弘志経済産業相、小泉進次郎環境相に対し、温室効果ガスの削減目標を「45%を超え、50%削減へのチャレンジ」を求める書簡を送付。気候変動が世界各地で熱波、山火事、干ばつ、洪水など、甚大な被害をもたらしていることに触れ、削減目標を「現在の26%から、すくなくとも45%以上で、50%、55%という削減をめざす欧米に匹敵する、先進国としての役割と責任にふさわしい野心的なレベルまで強化することを日本政府に求めます」とメッセージを送った。賛同したのは計291の企業や自治体、NGOなどで、工務店ではエコワークス(福岡市)などが名を連ねている。
会見では、このハードルの高い目標に自然エネルギー財団の大野輝之常務理事は「簡単ではないが、政府の政策が変わり、それを踏まえて、企業、自治体が続けば達成可能な数字」と力説。続けて「再生可能エネルギーの比率を高めると同時に石炭火力発電をいかに減らしていくか、これが大事だと思う」と具体策を示した。末吉代表もパリ協定を実現するために必要な数字とした前提で「不可能と思える目標を掲げることによって日本の潜在能力が引き出されていく。世界との競争に負けないというのがその裏にはある」と呼応した。
賛同するJCIメンバーも出席し、富士フイルムホールディングス株式会社執行役員ESG推進部の川崎素子さんは「気候変動がもたらす自然災害が私たちの生活に及ぼす影響を最小化し、この地球を気候危機から守るにはJCIが提言する科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標の達成が必要」と言及。さらに「国際競争力において、日本企業に大変プラスになる」と2つの利点で賛同した理由を明かし、「困難な課題解決を国主導で推進し、関係する業界企業が一体となって進めていきたい」と話した。
最後には末吉代表が政府に向けて「温室効果ガスの削減のスピードを高めていく必要がある。なぜならば気候変動がもたらす危機的状況は非常に困った状況になるので、もっと目を向ける必要がある」と強く呼びかけた。
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