新建ハウジングが運営する工務店向けオンライスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、佐藤実さんの「チカラボ版『構造塾』」ルームからの記事です。
佐藤 実
構造塾 塾長、一級建築士、構造設計一級建築士、東京大学大学院修士課程修了。木造住宅専門の構造設計・構造計算、構造計算育成コンサルティングなどを行っています。構造を基礎から学ぶ「構造塾」も主宰しており、現在構造塾塾生は全国に1500社、2000人。「日本中の木造住宅が地震で倒壊しない」ことを基本理念に構造計算の必要性を伝えています。
M’s構造設計・構造塾の佐藤実です。チカラボ版「構造塾」の第14回です。今回も四号建築物の「仕様規定」の3回目です。前回・前々回に続き、基礎の仕様を解説したいと思います。
8項目の仕様ルールの確認
(1)基礎の仕様
(2)屋根ふき材等の緊結
(3)土台と基礎の緊結
(4)柱の小径等
(5)横架材の欠込み
(6)筋かいの仕様
(7)火打材等の設置
(8)部材の品質と耐久性の確認
(前々回)仕様規定「基礎の仕様」〈1〉
(前回)仕様規定「基礎の仕様」〈2〉
異種基礎禁止の誤解
木造住宅の基礎に関する仕様規定は令第38条に規定されています。
令38条第2項には「異種基礎禁止」があります。これもよく誤解されている部分です。
ここで規定している異種基礎とは、布基礎とべた基礎という意味ではありません。
異種基礎とは、杭基礎と直接基礎の違いです。
図のように、杭や柱状改良などの「杭状地盤補強」の頭(杭頭)を基礎に飲み込ませるのが「杭基礎」、杭頭を基礎に飲み込ませず、杭状地盤補強上に基礎をつくるのが「直接基礎」です。
ちなみに、表層改良上に基礎をつくるのも直接基礎、地盤補強なしで基礎をつくるのも直接基礎です。
杭基礎と直接基礎の違いは?
では、杭基礎と直接基礎の違いは何か?
これは荷重の負担の違いです。
どちらの基礎も建物の鉛直方向の荷重は負担します。しかし、地震力などの水平方向の荷重については違いがあります。
杭基礎は杭頭が基礎に飲み込まれているので、水平方向荷重は杭が負担します。しかし、直接基礎は杭頭が基礎に飲み込まれていないため、杭状地盤補強は水平方向荷重を負担しません。水平方向荷重は、基礎と地盤の摩擦力、根入れ部分の土圧で打ち消されます。
次回は、8項目の仕様ルールのうち②屋根ふき材等の緊結、③土台と基礎の緊結にざっくり触れます。
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