YKK AP(東京都千代田区)は、マンションの古い窓を、足場を組むことなく、住みながら断熱性の高い窓に取り替えられるリフォーム商品「マドリモ断熱窓 マンション用」を4月5日に発売した。
分譲マンションの窓は共用部分にあたるため、これまでは管理組合の計画修繕に基づいて改修することとされてきたが、2016年3月告示の「マンションの管理の適正化に関する指針」(国土交通省)でマンション標準管理規約が改定され、現在は理事会の承認を受ければ戸別の窓改修を行うことができる。
だが、同社調査(2020年 n=1100)によると、大規模修繕時に窓交換が行われた割合は7%程度。また、1戸の窓交換のために足場を設置するのは費用・工期・下階への配慮といった点で現実的ではないことから戸別の窓改修も進んでおらず、単板ガラスが入った古い窓の断熱化が進まない現状があるという。
こうした課題を解消する商品として、RC造・ALC鉄骨造マンションの「戸別改修」に特化したアルミ樹脂複合窓を開発。
駆体・既存枠はそのままに、新しい窓を室内側から取り付けるカバー工法により、足場レスを実現した。気密シートで既設枠と新設枠をくるむシーリングレス仕様とすることで、外に身を乗り出す作業をゼロ化。さらに、室内側からカバー材に押し当てるようにして固定する方法により、窓をいったん外に振り出す動作をなくし、落下のリスクを低減した。施工は1窓あたり2時間から半日で完了する。
また従来は、現場に応じた採寸・作図・金物設計が必要なため、サッシ流通店にとっては負担が大きく、戸別改修が進まない一因にもなっていたが、それらの課題も解消。「現調キット」を使って簡単に納まりを確認できるようにし、既設開口の高さと幅の寸法だけで作図作業を不要にした。さらに、汎用性の高い取り付け部品を商品にあらかじめパッケージングすることで、メーカーを問わずほとんどの既設サッシに取り付けられるようにした。
U値は2.33W/m2・Kで、室温の変化を小さくして結露を解消。ひと冬(11〜3月)の暖房エネルギーを約6割削減できるとする(解析値)。耐風圧性能はS-5、水密性能はW-5で、中階層にも対応可能。今後は個別防火認定取得品も発売予定。
税別の参考価格は22万8900円(引き違い窓、幅1700×高さ1800mm、Low-E複層ガラス4+4mm)。
同社はこの商品を通じて「マンションの窓の取り替えが日常にある世の中にしていきたい」と話す。
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