動線(とアクション)が大事
以前も動線のことを書きましたが(「実はストレスだった!ダメ動線の家に住むと面倒くさがりになる」)、ダメ収納にしないために今の生活を新しい間取りに載せ替えて生活のシミュレーションをすることをオススメします。
幼稚園の年中さんと小学1年生のいる4人家族が住む家と想定して、下の間取り図を例に動線や収納を考えてみましょう。
赤い線は子どもが帰宅した時の動きです。家に入って最初に手洗いをする洗面所が一番奥にあるのが気になります。もし泥だらけで帰ってくると、手や足を洗えないままリビングを通り一番奥の洗面所まで行かなければいけないので、白い壁紙だとさらに困ったことになりそうです。
次に、水色は洗濯動線ですが、1階で洗った重たい洗濯物を主寝室(この間取りでは10.5畳の部屋)のベランダまで運ぶには動線が長いですよね。
主寝室から洗濯物を干すのであれば、階段に近いところに主寝室、奥を子供部屋とすれば洗濯動線が短くなることに気が付きます。
また、1階洗面所横のStorageには棚が付くのか確認が必要です。棚があれば毎日使うタオルや子どもの着替え、買い置きの洗剤を入れることができるので、もし棚が付かないならつけてもらうか、後から45cm程の棚を購入してもいいでしょう。奥行きが90cmある収納なら、手前に掃除機を置けます。
充電タイプの掃除機を使っているなら、コンセントを収納の中に付けておくと収納したままで充電ができ便利です。洗面所とキッチンの距離が近いのも使いやすいポイントと言えるでしょう。お料理をしながら、子どもをお風呂に入れる、洗濯ができるので家事楽の動線です。
間取りが全て思い通りにいかないこともありますので、難しい場合は優先したい動線を考えます。
さらに各収納へ入れるモノを想定していきます。シューズクローゼットも棚付きか確認。この間取りの場合棚を入れるとクローゼットの左奥の靴が取り出しにくいこと、扉がないため靴が玄関から見えてしまうことに気づきます。
次に、リビングには階段下収納しかないので、リビングで使うモノを収納する場所を考えます。収納したいモノの収まる家具を設置するよう計画すると、引越し後すぐ片付きます。
2階主寝室の収納は2カ所。WICはこの図面ではポールの設置方向まではわかりませんので確認が必要です。正面なら掛けられる洋服の枚数はもう1つのクローゼットとほぼ変わりません。万が一入り口を入って右側にポールがついていたら出入り口を塞がないか確認しましょう。
まさかと思うこともよく起こりますので、確認しておくにこしたことはありません。
この家は大きなモノを置ける収納が他にありませんので、洋服の下に節句用品やシーズンオフの家電、スーツケースといった大きなモノを置くのなら、ポールの位置を高めに設置してもらうとスペースが有効に使えます(下参照)。その場合、丈の長い服はもうひとつのクローゼットへ収納するといいでしょう。
間取り図上に、使うところに一番近い場所に収めたいモノを記入していくと、それまで線にしか見えていなかった間取り図の上でも家族が暮らすイメージが湧いてきます。
家の中での動きとモノの出し入れを想像してみましょう。家づくりは、想像力を働かせることが大事です。モノを出し入れすることを「アクション」といいます。このアクションの回数が多くなると片付けが面倒になるので、アクション数が少ない収納がおすすめです。
例えば、よくクローゼットの中に引き出し収納を入れますが、実はクローゼットの扉と引き出しを開けるので、アクションは2回です。畳んで仕舞う服などは、スペースがあるなら下写真のようにクローゼットの中を棚収納にしてしまえば、1アクション減ります。
また、グルーピングと言ってスポーツジムに通われる方は、ウェアー・シューズ・ボトルといったジム用品をまとめるなど一緒に使う物をグループにして収納することで、それぞれのモノを取りに行く動線とアクション数がなくなります。アイロンセット、旅行セット、荷造りセットなど家中の物をグルーピングしましょう。
まとめ
①新しい間取りの上で暮しを想像する。
②家族の動線を書いて、動きを確認する。
③収納するモノを事前に間取り図の各収納箇所に割り当てる。
④良いところと変更したい箇所をまとめ、設計士に相談する。
⑤アクション数を減らす収納を考える
⑥グルーピングする
モノが減る=収納場所も減らせる高断熱住宅
高断熱住宅というと、暑くも寒くもならない年中快適な温湿度環境に注目しがちですが、実はモノを減らすことにもつながることはご存知でしょうか。
住まいが一年を通してどの部屋も均一に快適な温度になるということは、冬用の厚い布団やかさばる衣類が減るということ。また、補助的に使用している暖房器具も不要になるということです。
例えば4人家族なら、冬用の布団4枚、毛布、冬用の部屋着4人分、ストーブやコタツ、ホットカーペット、扇風機など、量にして考えると1~2畳の収納スペース分のモノが減ると想定できます。
家づくりでは坪単価で金額を考えますが、(収納として)使われない敷地が一坪もあれば、予算をいくら削れるでしょう。
快適な生活が手に入るけれど建築コスト(初期費用)は高くなると言われる高断熱住宅は、その分光熱費や医療費の節約になりメリットも大きいのですが、それだけでなく、モノが減るので余分に収納をつくらなくても済むというメリットも加点できます。さらに住宅収納スペシャリストの立場で言わせていただくと、”モノが減る=片付け・管理の手間もなくなる”ので、家事楽につながって一石三鳥にも四鳥にもなりますよ。
お問合せ先 株式会社イリス
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