新建ハウジングが運営する生活者向け家づくりメディア「jimosumu(ジモスム)」から、よく読まれている記事をご紹介します。自社でも使えると思った記事・共感いただいた記事は、SNSなどでリンクを張るなどして、ぜひご活用ください。
住宅収納スペシャリストの川島マリです。
初めて家を建てた時に、ドアやシンク、洗面台、蛇口、壁紙とあらゆるモノを自分で選ばなければならないことに驚きました。私はモノを買う時は慎重なタイプなので、選択→決定→購入にスピードを求められる家づくりは最初は楽しかったものの、だんだん疲弊していきました(笑)。
洋服を買う時でさえ、自分に似合うかだけじゃなく「他の洋服と合わせやすい?」「サイズは丁度いい?」「値段は?」といろいろなことを考えます。買い替えられないモノはなおさら慎重に選びたいという思いが強かったのですが、家一軒ぶんのモノを選択するのにいつもと同じ様に考えていては予定通りに進まないため、途中で諦めました。
モノ選びだけでなく、設備や性能、間取りが希望通り取り入れられているかなども一つひとつ確認しなくてはいけませんので、初めての家づくりは見落とすことも出てきます。
よく聞く不満と変えられない家のつくり
収納相談で、新しい住まいの収納の奥行き、扉の形状、棚がつくのかなど質問していると、内容を把握していないまま工事に進んでしまっているケースが多いことがわかりました。すでに工事が始まって現場を見ているにも関わらず覚えてない方もいます。
収納は自分から質問しないと施工業者から説明がないまま工事に入ることが多いようです。業者はお施主様が図面を見て把握していると思っているためです。
収納のサイズや扉の開く方向は、物を出し入れする使い勝手に大きく関わります。奥行きや幅が足りなければ入れたいと漠然と思っているモノは入りません。特に奥行きの深い収納は出し入れしづらいので気をつけましょう。入れたいモノとサイズのバランスはとても大切です。
【参考:奥行き一覧】
押入れ(布団)/奥行き75~85cm
クローゼット(洋服)/60cm
棚(食料品・書類ケース・カゴ・掃除用品)/30cm~45cm
日本の家庭にあるモノで一番奥行きが必要なのは布団です。一般的なシングルの敷布団は100cm×210cmなので、収納の奥行きは75cm以上必要です。押入れ収納がなく敷布団を収納したいのであれば、収納先を考えなくてはいけません。逆に、奥行きが75cmあっても布団収納以外ではあまり使い勝手がいいとは言えません。
クローゼットに押入れと同じ奥行きのある家を見かけますが、洋服の肩幅から考えるとやはり60cmが使いやすいと思います。
このように、持っているモノと収納サイズを合わせることはとても重要なので、設計者や営業の方に収納についても確認しましょう。持ちモノが全て最適な場所へ収まるのか、最終的な判断は自分でするしかありません。早い段階から収納するモノを間取りに反映することが、のちの生活のしやすさに大きく関わります。
新しい住まいの収納:確認する5つのポイント
①収納内部の形状/枕棚+ポール or 棚収納 or 内部収納はない
②棚収納について/棚板の枚数、可動棚 or 固定棚
③収納の奥行きと幅
④枕棚+ポール収納/取り付け位置(高さ)
⑤収納扉の形状
上の写真を見てください。腰高の収納棚の下にポールがついています。洋服を掛けられる高さはないので、何をかけるのでしょう?小物でしょうか?このような収納が自分にとって必要なのか、工事の前に打合せが大事です。
「今より広い家になるから、たぶん荷物は収まるはず。どこに何を収納するかは引っ越してから考えよう」は危険!
造り付け収納は間取りにも関係するため、後から位置を動かすことができません。早い段階で自分の生活に合わせた場所に、適切なサイズと必要用途に合わせた収納がついているのか確認しましょう。間取り図を見て、希望通りの収納があると安心しないでください。造り付け収納の位置は後から変えられません。
片付けサービスをしていると、新しい住まいの収納に悩んでいるとの声をよく聞きますが、主な悩みを紹介します。
・ウォークインクローゼットなのに、洋服をかけたら歩くことができない。
・入れたいと思っていたモノのサイズを間違えて伝えたので入れたい場所に入れたいモノが入らない。
・収納がほしいところに無い。
・収納を作りすぎた。
・増えたと思っていた収納が、全然足りなかった。
・棚の奥行きが入れたい物のサイズに合わない。
引越して荷物を入れてはじめて気がついて悩んでいるというのです。
家が片付かないのは片付け下手だからと諦めがちですが、これは建物の問題です。建築確認前の早い段階からどの場所に何を入れるか考え、サイズや量、動線の確認をしておけば、後から悩まなくていいことばかりです。
Pages: 1 2
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。