「図原簿一致の徹底ができているかが重要。省エネ偽装にならないといいが・・・」「省エネ計算ができない建築士もいるのに、建築士が説明する必要性がわからない」「省エネの説明をするいい機会だ。他社との本気度の違いを見せたい」「2050年に向けて、大事な1歩。さらに進めていかなければと思う」―。
4月1日、改正建築物省エネ法が施行され、300m2未満の住宅・建築物の「省エネ性能説明義務制度」がスタート。工務店経営者からはこういった期待と不安の入り混じる声が出るなか、どちらかというと、制度の有効性への疑問や早急な適合義務化を求める意見も少なくありませんでした。
本紙が3月31日~4月6日に実施した独自アンケート調査では、顧客への「省エネ性能説明」実施状況について、施行前から、改正建築物省エネ法に則った形で実施している37.5%、準備はできており4月1日から実施する31.1%、準備できていない事項がある23%、全く準備していない8.1%—との結果が明らかに。とくに棟数の少ない小規模な事業者ほど準備不足が多く見受けられました。
取材班のひとりである本紙記者の荒井隆大は「制度の詳細がわかりにくく、小さな工務店の実態からずれている部分もあると感じる。工務店にはきちんと対応してほしいが、制度の中身や運用の見直しも必要では」と取材を振り返ります。最新4月10日号では、1~3面で大きく展開し詳報しています。
6面では、ネストハウス(山口県岩国市)社長に就任した石川貴大さんへのインタビュー取材を掲載しています。1981年の創業以来、初めての社長交代となった同社。石川さんは伝統を引継ぎながらも、これまでの「ワントップ型」から「多様性と自律性の高い組織へと生まれ変わらせたい」との考えを述べました。家づくりやカフェ、家具・雑貨などの店舗を備える暮らし提案の複合施設「イロハーブ」(山口県岩国市)で展開するカウンター営業モデルを軸に顧客との関係を築いている同社が、新たに取り組んでいる「原木オーナー」や「岩国家づくり図書館」などの取り組みについても紹介。旧来型の営業スタイルにとらわれない同社だからこそできる営業手法を深掘りしています。
9面では、山翠舎(長野市)が、飲食店の開業を希望する料理人を支援する不動産管理会社として開設した山翠舎賃貸(東京都渋谷区)の事業展開について、同社社長の山上浩明さんに話を聞きました。同事業は物件探しや金融機関から融資を受けるための事業計画書の作成、店舗の設計・施工までワンストップで支援するという、これまでにないビジネスモデル。「料理の腕前に自信はあるのに開業ノウハウがないといった人を支える事業により、力のある料理人が本業に専念し、正当に評価される世の中に変えたい」(山上さん)―。こう意気込む事業の背景や狙いについて解説しています。【栁原潤】
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