住友林業ホームテックのリフォームとは?(性能面)
①耐震
まずは耐震です。
ホームページを確認しますと、伝統工法の建物向けにエネルギー吸収ダンパーの設置に関する記載があります。また、基礎、土台、柱、梁、床、壁などを補強する工法においてもオリジナルの取り組みをしています。ダンパーという装置については現時点で様々な商品が登場しており、効果の判断が難しい領域ですが、耐震に関する意識の高さ、複数の工法において日本建築防災協会の認定を取得しているということなので、信頼性は高そうです。同業者が敬遠しがちな難解な旧家・古民家に社内衆知を結集し取り組んでいる印象です。
②断熱
断熱は、全社的な取り組みとして建物の断熱の現況がビジュアルでわかるサーモグラフィを活用し、冬季の室温の実証データを蓄積するなど断熱、そして気密に対する意識の高さがうかがえます。健康というテーマも社内で共有されており、気流止めや断熱材の充填、コンセントの隙間防止に至るまで断熱・気密、そして健康寿命やヒートショック予防、睡眠不足改善などウェルネスという視点も持ちあわせているようです。どこまで数値で提示しているのかは確認できておりませんが、新築ではなくリノベーションの業界における相対比較では間違いなく平均以上のレベルでしょう。
③素材
次は素材です。木材に関するお客様のベネフィットも社内共有されており、木材の利点としては、湿度調整や香り、視覚的なやすらぎといった木質化の効果などが社内資料を通じて共通認識になっているようです。この点から地域工務店との比較において、通じるものがあるという印象です。ただ、地域工務店の中には地産地消、県産材や地域の林業、地域経済の活性化に強い意識を持っている会社もあり、漆喰や珪藻土を必須としている例も多いです。その点の違いは見逃せません。デザインは新しい木、古い木の調和、木の色のコントラストが特徴で、間取りに関しても定評がある印象です。
④価格
問題の価格に関しては、新築部門同様、大手らしく高い価格設定になるようです。これは大手ならではのブランド価値とも言えます。
工務店は競合したらどう対策する?
以上、対策としては、モノ売り的なアプローチではなく、理念をベースとした自然素材訴求(調湿、産地等)や断熱の数値提示、通風、日射遮蔽・取得をわかりやすく伝えることも差別化要素になると考えています。
こだわり系、性能系の訴求はインスタやルームツアー動画では伝えきれない部分もあり、いかにモデルハウスや完成現場見学会へ誘導し、リアルに体感してもらえるかがカギとなります。
初期コストだけでなく、光熱費などランニングコスト、メンテナンスコストも含め、トータルコストを具体的に提示することもさらに優位性を築く上で有効です。二世帯リノベーションなら、ブランド志向になりがちな親世帯に主導権を持たせないよう注意も必要です。
ということで、今回は住友林業ホームテックについて取り上げました。旧家リフォームは平均単価が3000万円級と言われており、古民家リノベーションにおいて相見積りになる可能性は高いと言えます。ぜひ参考にしていただければと思います。
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