国土交通省は3月16日、バリアフリー設計のガイドラインとして策定している「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」を改正した。これに合わせ、改正内容に関する講習会を3月23日に開催する。
主な改正点は、(1)小規模店舗のバリアフリー設計 (2)重度の障害、介助者等に配慮したバリアフリー設計 (3)建築物のバリアフリーに関する優良事例の追加の3点。
(1)の小規模店舗のバリアフリー設計に関しては、「出入口は段差を設けない、かつ有効幅員は80cm以上、通路は90cm以上」「飲食店は車椅子のまま食事できるよう、原則として可動式の椅子席を設ける」など設計の考え方や留意点を記載した。また、従業員教育等のソフト面も充実させるよう求めた。
(2)の重度の障害や介助者等に配慮したバリアフリー設計等に関しては、車椅子使用者用トイレの大きさを見直し、配管収納スペース等を除いた有効内法寸法で、2メートル以上×2メートル以上を確保することなどを明示した。また、多機能トイレの機能分散化、案内表示の追加、車椅子使用者用駐車施設等の必要な高さの見直しも行った。
(3)の建築物のバリアフリーに関する優良事例の追加では、国立競技場や小規模店舗、病院、歴史的建造物などの設計事例を追加した。
改正は、新たな機器の普及や技術の進展、障害者団体等からの要望を反映させるため、 これまで5年ごとに行ってきたが、2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会開催による国内外からの来訪者の増大を見据え、新築だけでなく既存施設のバリアフリー化にも取り組む必要があるとして、改修の観点などを盛り込むため、1年前倒しして改正した。
同省では改正により、建築物のバリアフリー化の一層の推進を図りたいとしている。
建築設計標準の改正内容に関する講習会は、3月23日15時からオンラインにて行う。参加費無料。同日正午までに事前申し込みが必要。詳細・申し込みはこちらから。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。