ポラスグループのポラス暮し科学研究所(埼玉県越谷市)はこのほど、地震や複数回おこる余震などでも、耐震性能が低下せずに強度の確保が可能な耐力壁「Endure Wall(エンダーウォール)」を開発。同社グループの木造軸組みおよび2×4住宅への採用を開始している。
耐震+制震の高性能耐力壁で、木質フレームの中央に、高層ビルや橋梁にも使われている高剛性な粘弾性体を使用した「性能復元材」KOAダンパーを配置。地震の際はKOAダンパー部分のみが変形し、地震エネルギーを吸収する。地震後にはおおよそ元の性能に戻るため、地震が複数回発生しても建物の損傷や倒壊を防ぐことができる。「復元力のある耐力壁(壁倍率4倍相当)」と「制振壁」を兼ね備えた高性能耐力壁となっている。
人生100年時代と言われる中、家に住む期間や住宅の寿命が長くなり、大地震に被災する確率が高くなっていることから、家の構造へのダメージを防ぐ耐力壁を開発。従来の耐力壁のように、複数回の地震に耐えるために壁を増やす必要がないため、コストパフォーマンスに優れ、設計やデザインの自由度も高めることが可能となった。
同研究所は、「今までの耐震を組み込んだ建物(耐震等級3)」と「Endure Wallを組み込んだ建物」に、それぞれ阪神淡路大震災の揺れの50%と70%の揺れ(中地震)を2回、熊本地震の前震と本震(大地震)の揺れを2回、合計4回与える実験を実施。「今までの耐震を組み込んだ建物」が、地震のたびに変形が大きくなり、倒壊限界に近づいていく一方、「エンダーウォールを組み込んだ建物」は、変形も小さく構造性能を低下させない機能を持つことがわかったという。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。