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今回は、三原慎一さんの「「照明」「灯り」「明り」「光」のチカラ。照明計画が暮らしの価値を上げる!」ルームからの記事です。
三原 慎一
照明計画・設計業務1999年〜。照明メーカー、商空間内装デザインを経て現在に至る。商空間では欠かすことの出来ない「魅せる照明術」住環境に移植します。(一社)照明学会、(一社)インテリアプランナー協会所属。
灯り計画の三原です。今回はあまり活用が進んでいない照明の「コントローラースイッチ」について説明します。ぜひ住まいの提案の中で活かしてください。
ここ数年で、照明のスイッチはとても進歩して、価格も安くなりました。使いやすく、便利で、スタイリッシュ。使わない手はありません。重要なのはこれを使うと、普通の照明で夕食時・だんらんの時間・寝る前の静かなひとときなど、暮らしのシーンを創ることができ、ぐっとワンランク上の演出をすることができることです。照明のコントローラースイッチは「シーンコントローラースイッチ」になっています。これは住宅会社の提案の差別化につながるはずです。
安心して、自信を持って提案できるコントローラースイッチを紹介します。
多様なコントローラースイッチ
照明スイッチの選定は電気工事屋さん任せ。皆さんはいかがですか? ほとんどの方は、パナソニックのコスモシリーズを考えると思います。私もそうです。何回も使っていますし、安心出来ます。しかし最近は、一歩踏み込んで、照明メーカーが販売するシーンコントローラーを併用しています。
パナソニック、オーデリック、コイズミ、DAIKO……それぞれが、機能を駆使したコントローラースイッチを販売しています。
コントローラースイッチを活用することで、以下のようなことが簡単にできるようになります(出典はパナソニック)。
実際の製品ですが、右のコントローラースイッチは1.5Aタイプの4口タイプ、Panasonic「リビングライコン」です。
このコントローラースイッチもそうですが、子器が使えたり、Bluetoothに対応していたりと、各社特徴があります。
当然金額も変わります。
ちなみに最高峰に君臨するのはルートロンの「グラフィックアイQS」。
細かな時間設定が出来たり、毎日変わる日没の時間に合わせてシーンを呼び出したり、フェードイン・フェードアウトの時間も任意に設定出来たりと、多機能が満載です。
まずは各照明メーカーから販売しているシーンコントローラースイッチを比較することから初めて見るのが良いと思います。私のお勧めは、PanasonicとODELICです。
自分好みのシーンを作る
コントローラースイッチは、回路毎にスイッチを付けてオンオフすることもできますが、ぜひ「シーンコントローラースイッチ」として使いましょう。コントローラースイッチを使い、照明全体をコントロールしてシーンを作り、好みの明るさをボタン一つで呼び出すスタイルです。
例えば、シーン1は朝食。シーン2は夕食。シーン3は団らん。シーン4は寝る前など。回路毎の明るさを任意に変え、好みの光環境を作っていきます。
使い方の例として、以下の5回路をまとめるとします。各々の器具に調光対応が必須です。
(1)ダイニング照明
(2)リビング間接照明(天井用)
(3)リビング間接照明(壁用)
(4)リビングダウンライト
(5)スタンド照明
これらを各シーンに合わせて、一番心地よい明るさの組み合わせを作ります。
このシーン設定さえしてしまうと、あとはボタン一つで各シーンを呼び出すだけ。調光設定は面倒に感じるかもしれませんが、やってみるとむしろ楽しい作業と感じるはずです(最初だけですし)。
沢山あったスイッチは一つにまとまり、見た目もスッキリ。
特にリビングダイニングが同じ空間で共用する場合は効果を存分に発揮します。
スイッチの数が4個以上ある空間には、迷わずシーンコントローラースイッチを提案することをお勧めします。
メーカーにより、おやすみタイマー、Bluetooth対応、色温度調整、子器連動など生活シーンに合わせた機能が備わり使い方に合わせて選定できます。
対応回路数とシーン設定数比較
メーカーにより対応回路数とシーン設定数が違います。
・Panasonic リビングライコン
https://sumai.panasonic.jp/lighting/home/living-lightcontrol/#Rtab2
3回路用(4シーン)、5回路用(6シーン)
5回路用を2個繋げて10回路をまとめてシーンを作ることも可能です。
・DAIKO
https://www2.lighting-daiko.co.jp/support/function/controller.html
4回路用(4シーン)、6回路用(6シーン)
親器を2台、3台繋げて回路を増やすことが出来ますが、シーンを増やすことは出来ません。
・KOIZUMI
https://www.koizumi-lt.co.jp/product/jyutaku/tree/memory_right_contoroller/
4回路用(5シーン)
・ODELIC
https://www.odelic.co.jp/CGI/product/search.cgi?catalog0=OS0291.pdf
4回路用(4シーン)Bluetooth対応
・ルートロン
https://www.lutron.jp/products/grafikeye_qs.html
3回路用、4回路用、6回路用
本体操作4シーンまで。5シーン以上は補助コントローラーで呼び出し。登録は16シーン。
機能に比例して価格もそれぞれですが、「付加価値」を提案することを考えると、暮らし方のスタイルに合わせたコントローラースイッチの紹介が出来ると思います。
施主によっては「価格以上の価値がある」との意見もあるほど、インパクトが大きいのも事実です。実際に提案していただいてぜひ反応を実感してほしい。
気になる電気工事について
これが皆さん気になるところだと思います。ここは避けては通れないところです。
まず、一カ所に配線をまとめることで、ケーブルの長さは長くなります。
またローボルトの器具や、電源ドライバーが必要な器具の調光には信号線(PWM)が必要なケースもあります。インターフェイスやパワーブースターなど、普段取り扱わない製品を施工することに対しての段取りも必要になります。
予め照明設計や計画図で事前打ち合わせを行い、施工費の見積りを行うことをお勧めします。
まだ普及しているとは言えないコントローラースイッチですが、これを取り入れた照明提案で会話を広げれば、シーンごとに施主の理想的な暮らしが見えてくるでしょう。そうした少しハイレベルな商談から、各社の差別化、そして受注につながるはずです。
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