大和ハウス工業(大阪市)は1月5日、鉄骨の柱や梁をロックウール・モルタルで耐火被覆吹付する「耐火被覆吹付ロボット」を、建設現場(横浜市)の実工事に初めて導入したと発表した。
同機は産業用ロボットアームと走行台車、昇降台車を組み合わせたロボットで、2018年4月に同社が開発および実証実験を実施。通常3人の職方が行う耐火被覆吹付作業に使用することで、作業全体にかかる時間を約30%削減可能だという。
同社は、実証実験の結果をもとに同機の性能を向上。試作機では縦向きに設置していたロボットアームを横向きにしたことで吹付可能範囲を拡大したほか、走行台車のタイヤに「メカナムホイール」を採用して全方向への移動を可能にした。また、昇降台車に設置するリフターをスライド式からパンタグラフ式に変更。上昇用シリンダーを縦に設置し、省スペース化を図るとともに吹付可能高さを4メートルから7メートルに向上させた。
さらに同機は、図面データを用いることで、吹付に必要な経路計画を自動で作成可能。必要なデータ入力項目を削減するため、BIMと連動させることを想定した仕様に改良した。位置認識にはトプコンの3次元計測機「LN‐100」と計測時に使用する「プリズム」を併用し、数cmの誤差で吹付位置の調整ができるようにしている。
同社は、建設現場の人手不足解消および職方の負担軽減のため、鉄骨の耐火被覆吹付の自動化の開発に着手。今回完成した同機は、実証実験時の作業時間約20%削減を上回る効果を実現した。今後は、働き方改革の一環として複数現場への導入を目指し、改善や改良、運用体制の検討を進めるとしている。
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