住友林業(東京都千代田区)と京都大学(京都市)は12月23日、「宇宙における樹木育成・木材利用に関する基礎的研究」を共同で行う研究契約を締結し、宇宙木材プロジェクト「LignoStella Project」をスタートしたと発表した。2023年に木造人工衛星「LignoSat」を打ち上げ、2024年3月31日まで宇宙環境下での木材物性評価や樹木育成研究を行う。
両者は今後、宇宙環境での木材の物性や樹木育成に関する研究、宇宙ステーション等の極限環境下でのストレス低減に及ぼす木の効果研究、宇宙環境における木造建築物構築に関する研究、木造人工衛星の開発などを共同で実施していく。木材は電磁波・地磁気を透過するため、木造の人工衛星は内部にアンテナや姿勢制御装置を設置でき、構造の簡素化が可能。運用終了後は、大気圏突入時に完全に燃え尽きるため、大気環境等の汚染源となりうる微小物質(アルミナ粒子)が発生しない、よりクリーンで環境に優しい人工衛星の開発につながるという。また、共同研究の成果を活用し、地球環境下での木造建築・木材利用推進に展開していくほか、高い専門性を持つ次世代人材の育成などにも取り組むとしている。
京都大学では、宇宙飛行士の土井隆雄氏が京大宇宙総合学研究ユニット特定教授に就任し「宇宙における木材資源の実用性に関する基礎的研究」をテーマに研究を進めており、研究技術開発を通じて木の可能性を追求する住友林業とビジョンが一致。両者のリソースを集結して今回のプロジェクトを進め、宇宙での木材活用の道を拓いて人類の持続的な発展に寄与することを目指す。
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