雨掛かりの影響に関しては、付着海塩量を調査した結果がある。それによると雨水の当たる部位は、海岸からの距離に関係なく付着海塩量は一定である。一方、軒下や軒裏部などの雨水による洗浄がない部位では海岸に近いほど付着海塩量が多くなっており、腐食のリスクが高まる。
同様に上部をガラスで覆って雨水が当たらない環境と通常の環境で腐食速度を調べた試験によると、海岸からの距離が同じ場合、いずれのめっき鋼板においても雨水が当たらない試験体の腐食速度は通常の暴露に比べて約2倍大きくなる。特に海岸に近い環境では雨水が当たらない試験体の付着海塩量が著しく多くなり、通常の暴露に比べて腐食速度は約3~6倍になった。
この結果より、仮にガルバリウム鋼板の耐用年数が30年だとすると、沿岸地で雨水が当たらない箇所は5〜10年程度に縮まることになる。
これらを踏まえて菅沼さんはこう話す。「海沿いの敷地でガルバリウム鋼板を用いる場合、屋根通気と日射遮蔽を別の方法で確保した上で、軒やケラバの出をゼロにするのも1つの手だ」。
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