- 鋼板で外装を仕上げた沿岸地の倉庫。同じ鋼板だが外壁よりも屋根の傷みが目立つ
- シャッターボックスは傷みが激しい。亜鉛めっきの塗装鋼板を使用していると思われる。シャッターボックス直下の雨が当たらない部分の錆も目立つ
- 雨の当たらないケラバ直下に黒錆が発生している
- コーナー部分の後半の端部が錆びている。切断面は弱点となりやすい
- 反対側の面。隣に建物があり、雨が当たりにくいため錆の発生が激しい
- 隣家との位置関係。鋼板は吹きさらしのほうが長持ちする
- 別の建て物の軒下の様子。雨が当たらない部分は腐食原因物質が流れ落ちないので劣化が進む
- 軒下に錆が生じた事例。ほかの部分は健全だがこの部分のみ錆が生じていた
- 海の近くでよく見られる鏡板の腐食。庇の直下など雨が掛からないところは耐候性の高い塗装鋼板を用いるほか樹脂やアルミ製などを検討する
- 海沿いのエリアではもらい錆が生じやすい。金属製を用いる場合、外壁の鋼板と同等以上の耐久性の素材とする。この事例の外壁は鋼板ではないが、鋼板の場合は外壁の錆の発生につながる
雨掛かりの影響に関しては、付着海塩量を調査した結果がある。それによると雨水の当たる部位は、海岸からの距離に関係なく付着海塩量は一定である。一方、軒下や軒裏部などの雨水による洗浄がない部位では海岸に近いほど付着海塩量が多くなっており、腐食のリスクが高まる。
同様に上部をガラスで覆って雨水が当たらない環境と通常の環境で腐食速度を調べた試験によると、海岸からの距離が同じ場合、いずれのめっき鋼板においても雨水が当たらない試験体の腐食速度は通常の暴露に比べて約2倍大きくなる。特に海岸に近い環境では雨水が当たらない試験体の付着海塩量が著しく多くなり、通常の暴露に比べて腐食速度は約3~6倍になった。
この結果より、仮にガルバリウム鋼板の耐用年数が30年だとすると、沿岸地で雨水が当たらない箇所は5〜10年程度に縮まることになる。
これらを踏まえて菅沼さんはこう話す。「海沿いの敷地でガルバリウム鋼板を用いる場合、屋根通気と日射遮蔽を別の方法で確保した上で、軒やケラバの出をゼロにするのも1つの手だ」。
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