次世代鋼板のエスジーエル
ガルバリウム鋼板(亜鉛−55%アルミ合金めっき鋼板)は外装材としての総合的な耐久性が高いが、泣き所もある。アルミの比率が高く、亜鉛−5%アルミニウム合金めっき鋼板の約2倍めっきが硬いことだ。そのため曲げ加工などの際にクラックが入りやすい。めっきにクラックが入ると塗膜にまでその影響が及ぶことがある。
この亜鉛−55%アルミ合金めっきに2%のマグネシウムを添加して性能を向上させたのがエスジーエルだ。エスジーエルは亜鉛リッチ相にマグネシウム濃化相を共存させることでさらに防食性能を高めている。そのメカニズムは下記のように説明されている。
マグネシウムは亜鉛よりさらにイオン化しやすいため犠牲防食作用が向上する。マグネシウムは亜鉛と共存することで、切断面やクラックにより鉄が露出した部分に保護皮膜を形成することを促進する。この保護皮膜はマグネシウムの働きで緻密化した上で安定化する。さらに保護皮膜は水に溶けにくく、しかも電子伝導性が低いため腐食電流を抑制するため保護効果が高い。
結果としてガルバリウム鋼板よりも平面部をはじめ切断面や傷の防食性能が向上している。現実の環境に近いとされる複合サイクル試験によるとエスジーエルの腐食減量はガルバリウム鋼板の5分の1と高い防食性能を示している。試験体のバラつきを考慮しても、ガルバリウム鋼板の3倍以上の防食性能が期待されている。このエスジーエル鋼板はすでに金属サイディングの上級品に採用されて普及しつつある。
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