ガルバリウム鋼板の防食性能
ガルバリウム鋼板(亜鉛−55%アルミ合金めっき鋼板)の防食性は試験のほか実例からも証明されている。この耐久性の高さは独自のめっきの構造による。
亜鉛−55%アルミ合金めっきは、アルミニウム含有率の高いアルミリッチ相と亜鉛含有率の高い亜鉛リッチ相が三次元的に網目状に絡み合った複雑な構造をしている。これにより亜鉛リッチ相の腐食は網目状の複雑な経路を辿るため、めっき全体の腐食速度を遅らせることができる。
塗装鋼板の弱点の1つが切断面などの端部から進行する赤錆(エッジクリープ)だ。塗膜の下のめっき鋼板が腐食され、塗膜がふくれた状態となる。エッジクリープを抑えるのに有効なのがめっき付着量を増やすこと。めっき付着量はJISで規定されているが、多くなるにつれて防食性能は向上し、エッジクリープのふくれ幅は小さくなる。
ガルバリウム鋼板の場合、外装材にはAZ150と言われるめっき厚54μm(0.054mm)の鋼板が採用されることが多い。長期優良住宅の規定にも外装に用いる鋼板にはAZ150以上の塗布量が求められている。屋根材や金属サイディングなどの製品によってはめっき厚の記載のない製品もある。耐久性を左右する要素なので注意が必要だ。
このほかふくれ対策としては下塗り塗膜に配合する防錆顔料の量も影響する。防錆顔料を増やした製品もある。さらに裏面塗装の膜厚も影響する。過去の試験では表面塗装が2コートで裏面が1コート塗膜厚6μmの場合、エッジクリープ幅は1.7mmだが、裏面が2コート材で塗膜厚10μmの製品の場合、塗膜ふくれ幅0.5mmに抑えられたことが報告されている。製品選定の際のチェックポイントの1つだ。
ふくれの発生は環境も左右する。海風などの影響を受けない環境では、めっきの種類による大きな差は生じず、塗膜のふくれ幅は2mm以内に収まるという試験結果がある。一方、沿岸地域においてはガルバリウム鋼板の端部の防食性能が高いことがわかっている。
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