めっきの役割と性能
次はめっきについて解説する。塗装鋼板に施されるめっきは、数十年前の「トタン板」は亜鉛めっきから進化し、現在は亜鉛とアルミの合金めっきが主流だ。
めっきのベースとなっている亜鉛は鋼板よりイオン化傾向が高いため、鋼板より先に錆びて水酸化亜鉛などの被膜をつくる。この被膜は安定しているので、まだ錆びていない部分の腐食の進行を遅らせ、下地である鋼板の腐食を抑制する。この亜鉛の作用を犠牲防食(ガルバニック・アクション)という。
この亜鉛の性質を生かし、アルミニウムを添加することでさらに耐食性を高めたのが、現在主流の合金めっきだ。アルミニウムは非常に酸化しやすく、酸化すると安定した酸化皮膜(不働態皮膜)となる。亜鉛めっきにアルミニウムを混ぜるとめっきの防食性能が高まる。防食性能は含有量で変化する。約40年前にアメリカで行われた暴露実験により、そのピークが5%近辺と55%以上であることが判明している。
この結果から亜鉛−5%アルミニウム合金めっき鋼板と55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板が1980年ごろより製品化されている。それぞれ特性があるが、外装材としての総合的な性能は後者に軍配が上がり、ガルバリウム鋼板という名称で広く普及している。
「建築材料の耐久性に関する調査」で行った無塗装板のサイクル腐食試験では、亜鉛めっき鋼板の腐食発生時期が最も早く腐食し、以下、亜鉛−5%アルミ合金めっき鋼板、亜鉛−11%アルミ−3%Mg−0.2Si合金めっき鋼板、亜鉛−55%アルミ合金めっき鋼板となった。
同調査では10年間の各種の暴露試験と促進試験から総合的な耐久性を推察している。いずれもフッ素樹脂塗装を施したガルバリウム鋼板が最も耐候性が高いという結果になっている。
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