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高断熱住宅を建てたいと思ったら誰に相談・依頼すべきなのか。住宅みちしるべの太田周彰さんに解説いただきました。
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「断熱」という技術は、住宅業界にはまだ浸透しきっていない、新しい技術です。2020年に最低限レベルの断熱性能が新築住宅に義務化される(正確には国の指針である「省エネルギー基準」を満たすことが義務付けられる)はずでしたが、結局義務化は見送られました。つまりは「過渡期」の技術です。
3タイプに分かれる高断熱の取り組み姿勢
過渡期ですので高断熱住宅への取り組み姿勢はプロの中でも様々です。整理してみました。
(1)高断熱無関心タイプ
そもそも住宅建築は文化や生活と深く結び付いているため、新しい技術が浸透するのに長い時間がかかります。また、住宅には多くの人が関わっているため、中には「古い技術をそのまま残すことが良いことだ。断熱性能も必要ない/最低限でいい」と思い込んでいる人もいるのです。こうした層を「高断熱無関心タイプ」と呼ぶことにします。
(2)しかたなく高断熱タイプ
断熱技術自体には肯定的なのですが、実際どの程度の断熱をすれば良いのか迷っているプロもいます。迷い度合いにも高低差があるのですが、前者に比べてまだ前向きです。
このような方々は、消費者である読者のみなさんが「お金を出しても高断熱は必要」と言えば、諸手を挙げて断熱技術を取り入れるタイプです。こうしたプロを「しかたなく高断熱タイプ」と呼ぶこととします。
(3)高断熱積極タイプ
この2つのタイプとは違なるタイプも出てきています。既に迷いがなく、自社の生きる道は高断熱住宅だとハッキリと方向性を示し、断熱技術を積極的に取り入れるタイプで、「高断熱積極タイプ」と呼びましょう。
現在はこの3つのタイプが混在していて、まさに過渡期なのです。時代・市場が成熟すれば「しかたなく」「積極」の2つが大部分を占めるようになるでしょうが、現在はこのような状況です。
3タイプの見分け方 ホームページでも判断
この3タイプの見分け方について私なりの方法を記します。
まず「無関心タイプ」の特徴ですが、ホームページやチラシなどを見てもまず断熱のことには触れていません(場合によってはホームページすらない)。
安さ重視の建売住宅事業者やデザイン重視の建築家にはこのタイプが多く見られます。
次に「しかたなくタイプ」ですが、ここはバラつきが大きい。経営者自身がまだ迷っているのですから当然です。ホームページで「高断熱住宅」をうたっていても、その断熱性能は最低限満たすべき「省エネルギー基準」レベルというケースもあるので、どんな断熱性能なのかを数字で確認する必要があります。断熱性能をメニュー化し、「あなたのお好きな断熱レベルを選んで下さい」というスタンスの会社もあります。この場合、過去にどの程度高断熱住宅の実績があるのかをキチンと確認しましょう。
最後に「積極タイプ」ですが、色々な経験、勉強、検討を通して確信をもって高断熱住宅に取り組んでいると考えて良いでしょう。ですので、ホームページでも断熱に関してそれなりのボリュームの記載があるはずですし、直接面談する際にも断熱技術について時間と量を割いて説明してくれるはずです。
ホームページだけで判断できない場合は、過去の高断熱住宅の実績・経験を聞く、その会社で建てた施主の感想を聞く、工務店なら営業マンではなく経営者の話を聞く(営業マンはミスリードする可能性があるため)、といった方法があります。
断熱性能については、「HEAT20という住宅の断熱性能に関して目安を出している機関が示すグレード1もしくは2」を満たしていれば高断熱を積極的に取り入れていると判断しても良いでしょう。ホームページの確認時・面談時に確認してみてください。このレベル以上の断熱性能を自社の「標準」にしていれば、「積極タイプ」です。
高断熱住宅にするならまず「積極タイプ」に
どんな家をつくるかは「費用対効果」が判断基準となります。言い換えると、限られた予算のなかでどんな優先順位をつけるのかが最終的な鍵になります。
高断熱化を最優先にしたいと思ったなら、まずは「積極タイプ」のプロに相談すべきでしょう。
断熱技術は知ってしまえばさほど難しいものではありません。ですが、それなりの経験がないとトラブルの原因になることも確かです。誰に依頼するかで家づくりの成功・失敗が分かれますが、過渡期の断熱技術を優先するならなおさら依頼先の選定が重要です。
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