新建ハウジングが運営する工務店向けオンライスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、佐藤実さんの「チカラボ版『構造塾』」ルームからの記事です。
佐藤 実
構造塾 塾長、一級建築士、構造設計一級建築士、東京大学大学院修士課程修了。木造住宅専門の構造設計・構造計算、構造計算育成コンサルティングなどを行っています。構造を基礎から学ぶ「構造塾」も主宰しており、現在構造塾塾生は全国に1500社、2000人。「日本中の木造住宅が地震で倒壊しない」ことを基本理念に構造計算の必要性を伝えています。
M’s構造設計・構造塾の佐藤実です。チカラボ版「構造塾」の第11回です。
今回は前回/前々回に引き続き、木造住宅の四号特例について考えてみたいと思います。
皆さんもぜひ考えてみてください。
四号建築物とは
建築基準法第6条第1項に、構造種別、用途、規模などにより建築物は一号から四号までに分かれています。
木造の場合、四号建築物は以下の通りです。
・階数が二階建てまで(二階建て、平屋建て)
・延床面積500m2以下(500m2含む)
・最高軒高9m以下
・最高高さ13m以下
多くの木造住宅は四号建築物となります。
仕様規定とは
木造住宅の構造安全性確認方法のひとつで、四号建築が最低限行わなければいけない構造安全性確認方法です。
四号建築物の仕様規定
四号建築物が最低限行うべき構造安全性確認方法である「仕様規定」は、3つの簡易計算と8項目の仕様ルールで構成されています。
○3つの簡易計算
①壁量の確保(壁量計算)
②壁の配置バランス(四分割法)
③柱の柱頭柱脚の接合方法(N値計算法)
○8項目の仕様ルール
④基礎の仕様
⑤屋根ふき材等の緊結
⑥土台と基礎の緊結
⑦柱の小径等
⑧横架材の欠込み
⑨筋かいの仕様
⑩火打材等の設置
⑪部材の品質と耐久性の確認
仕様規定では簡易計算として①壁量の確保(壁量計算)、②壁の配置バランス(四分割法)、③柱の柱頭柱脚の接合方法(N値計算法)を規定しているだけで、その他、木造住宅の骨組みとなる「柱や梁等の部材検討」、木造住宅を支える「地盤・基礎の検討」は仕様のルールが決められているだけで、建物ごとに安全性の計算をする規定ではありません。
ということは、仕様規定は最低限の構造規定であるにもかかわらず、木造住宅全体の構造安全性を確認する規定にはなっていないことを理解してください。
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