新建ハウジングが運営する工務店向けオンライスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、青木隆行さんの「工務店リアル経営」ルームからの記事です。
株式会社ソルト(SOLT.)代表取締役。経営アドバイザー/MBA。1972年・山口県防府市生まれ。2002年~2019年まで、株式会社銘建(MEIKEN)代表取締役。さくら銀行(現三井住友銀行)を経て、家業であった工務店を事業承継。銘建では、『ライフスタイル型工務店』『一気通貫経営』を提唱。事業規模を2.7億円から23億円へ拡大。2016年より多角化(機能回復型デイサービス・不動産賃貸・民泊・食品物販)展開。2019年M&Aにより事業譲渡。現在は多角化した会社を経営しながら、経営アドバイザーとして全国の工務店・中小企業への支援を行っている。
<まえがきとして>
これまでの工務店経営者としての経験をもとに『地域工務店のリアル経営』と題して、チカラボにて連載をスタートする事となりました。青木隆行と申します。
私は2019年7月、17年間経営した工務店をM&Aによって事業譲渡、現在は事業を行いながら、主に売上高3~10億円規模の企業さま向けに経営アドバイザーをさせて頂いております。
工務店経営者としての20年
振り返れば工務店経営者として、山ほどの失敗と成功を繰り返してきました。2000年山口県に帰省し、2002年に事業承継。当時売上2.7億円・営業損失86百万円というスタートから我武者羅に改革を進め、ファミリービジネスにありがちな家族間のいざこざも体験しつつ、翌年売上7.4億円・営業利益70百万円へとV字回復。その後、『商圏人口30万人で完工50棟によるエリアNO.1化 』『膨張企業ではなく成長企業』をテーマに掲げ、着実な右肩上がりを心がけ、5年間かけて売上高10億円となりました。
それからはリーマンショックや消費税増税などの波を乗り越え、2014年に単独展示場にカフェ・ライフスタイルショップを併設した施設を建設。『ライフスタイル型工務店』『一気通貫型経営』をテーマにブランディングを強化、単独移動式展示場のみで年間新規集客約1500組、2016年には2拠点で63棟を受注という成果を残しました。
同じ時期に次世代に向け新卒採用8年間で35名を採用。事業承継当時14名だった社員を50名近くまで増やしました。また、住宅業界の将来を考えて多角化も検討、リフォーム・不動産事業・非住宅事業・有名FC加盟といった周辺事業に加え、介護事業やエリア外(都市部)での不動産賃貸及び民泊事業・食品物販事業もスタート。工務店向けの勉強会である『リアル工務店実践勉強会』なるものも立ち上げ、全国の工務店経営者による情報共有のため10回以上の勉強会を開催しました。中期計画としては『社長を10人つくって2025年グループ売上50億円』という目標のもとホールディングス化し組織化も図っていきました。
M&Aを決断した経緯
しかし、エリア内の認知度が高まると競合も激化し、会社に求められる人・モノ・サービスへのレベルも高まりました。残念ながら当然ネットなどでの様々な口コミも増え、社内の人間関係やスキル上の問題も多くなりました。その結果、徐々に組織内の心理的安全性が失われた結果、組織風土が変化し離職が増え、社内で構築したオリジナリティやノウハウも流出していきました。『関わる全ての人の幸せに貢献する』という理念を掲げていた自分自身が、ブランドを毀損し不幸せな人を作っている様を見て、ある種の限界を知りました。最終的な経営判断として選んだのはM&A。同じエリアで価値観を共有できる工務店経営者に未来を託す事で、企業としての成長戦略を再構築する道を選択しました。これが私のこれまでの『リアル経営』の経験です。
語れば20年もあっという間で、広い視野で見ればどこにでもありそうな話ですが、もしかするとまさにいま工務店経営をされている皆さまに『事業承継・理念構築・ブランディング・組織化・採用・ホールディングス化・M&A』を実践してきたなかでお伝えできる事があると思い、私自身実業も行いながら連載を行う事と致しました。経営アドバイザーとして具体化と抽象化・総論と各論を織り交ぜながら共に考え共に解決していけるような場づくりが出来ればと思っています。ここでは、主にこれから組織化を目指す経営者または事業承継をされる未来の社長にご覧いただきたいと考えております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
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