放射性物質の存在が瑕疵となる水準は?
→当面の基準は1mSV/年である
次に、どの程度放射性物質に汚染されていれば瑕疵になるのかという問題があります。
この点については、IAEA(国際原子力機関)が一般人の追加被曝量の基準とし、また「放射性物質汚染対処特別措置法」も除染の要否の基準としている追加被曝量、年間1mSVを超えるかどうかがひとつの基準になるかと考えられます。
ただし、平穏な生活を乱されると感じるかは、人によって異なります。それゆえ、瑕疵に該当するのは、通常一般人にとって住み心地の良さに欠き居住の用に適さないと感じることに合理性があるといえる場合に限られると考えら
れています。
1mSV/年以下の場合には健康上問題がないとされている以上、これを居住の用に適さないと感じることには客観的合理性がないと考えるのが原則であり、心理的瑕疵に該当しないといえます。
もっとも、子供に対する配慮から、1mSV/年以下でも放射性物質の汚染が忌避されることは想定され、瑕疵に該当するという判断がなされる可能性は否定できません。
「健康住宅」とうたっている場合について
たとえばシックハウスの問題においては、「健康住宅」等の説明をしていたことから室内化学物質の濃度が高い住宅について瑕疵と判断される傾向にありました。
「健康住宅」と宣伝している以上、通常想定される健康リスクの問題には配慮されているという信頼を消費者に与えていることとなりますので、「健康住宅」を重点的にアピールしている住宅において、「放射性物質による汚染が瑕疵ではないか?」とのクレームが生じる可能性は否定できません。([3]につづく)
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