「COLORS」ブランドで展開する自社の商品(建材)を用いて手掛ける独自の世界観あふれるリノベーションが人気
DIY普及でプロのマーケット拡大
ライフスタイルをデザインする企業に
ほかにはないオリジナリティーあふれるDIY・インテリア・エクステリア商品の販売(EC事業)で成長を遂げ、その商品を生かして独自の世界観を醸し出すリノベーション(工務店事業)も人気の友安製作所(大阪府八尾市)社長の友安啓則さんが、住宅産業大予測FORUM2021(12月18日、主催:新建ハウジング)に登壇する。開催に先がけ、全国の工務店に「DIYの普及によりプロ(工務店)の仕事が拡大する」「住宅産業がいま取り組まなければならないのは需要喚起とマーケットの拡大だ」と呼び掛ける友安さんの話を紹介する。FORUM当日は、アフターコロナを見据えた具体的な戦略を解説する。
共感する工務店が増加
DIYが普及することにより住まいに関心を持つ人が増えれば、必ずプロ(工務店)の仕事も増える。内装などDIYを始めた人から、「ここは吹き抜けにしたい」「間取りを変えたい」といったプロが手掛けるリフォームの需要などが生まれるはずだ。そういったことも見据えて、カフェを併設したショールーム(東京・大阪)での生活者向けDIYワークショップや工務店事業(友安製作所工務店)を展開している。
工務店のサービスの一部として、現場監督や職人が直接アドバイスする「DIYサポート」を提供しているが、顧客の半分ぐらいが「すごい楽しかったけど、残りの部屋はプロ(工務店)に任せる」と選択する。実際にやってみて、クオリティーやコスパの判断ができるようになるため。僕らは単にDIYを普及させたり、自社の商品の販売を拡大したいわけではない。ユーザーが自ら判断・選択できるようになることをサポートしながら、住まいに愛着や興味を持つ人を増やしていきたい。その結果として、プロの仕事が拡大していけばいいと考えている。最近、僕らのやり方に共感してくれる工務店さんも増えていて、ワークショップのノウハウなどについてアドバイスさせていただいている。
市場は急速にシュリンク
DIYの普住宅産業が、いま取り組まなければいけないことは、この先の需要を生み出していくこと。周知の事実だが、2015年をピークに国内の人口は減少局面に入り、いまから5年後までに400万人分の需要が消失する。すごい勢いで市場はシュリンク(収縮)していく。いま、まさに強制的に需要を喚起する仕掛けを起こさないと、(住宅産業に関わる)僕たちの事業は伸ばせなくなる。そのための取り組みとして昨年から、「ホームパーティー推進委員会」の活動をスタートした。「玄関までしか人を入れない」日本の文化を変え、家でパーティーをする、つまり「日常的に家の中に人を呼び込む」文化が広がれば、住まい手は必ず「家を素敵にしておきたい」と考える。ここから内装の改装やリフォームの需要が生まれるはずだ。この活動には、住宅産業のほか家電メーカー、食品産業など幅広い業種から70社以上が賛同してくれていて、協働しながらホームパーティーの普及に取り組んでいる。
世界観の源“コアバリュー”
コロナ禍のなか、“おうち時間”を充実させようという人たちを中心に広がりを見せるDIYの影響もあり、売り上げ全体の6割を占めるEC事業(自社ウェブサイトによる各商品の販売)が伸びているが、それ以上に工務店事業へのリフォーム・リノベーションの依頼が殺到していて驚いている。その理由としては、国内にはないセレクトした自社商品によって(リフォーム・リノベーションで)独自の世界観を示すことができるからだと思っている。世界観を生み出す源になっているのが、コアバリューとして掲げる「Be Creative (常に創意工夫して唯一無二を目指す)「Be」 Productive (常に生産性を重視し、無駄のないサービスを心掛ける)」 「Live,Work with Passion (仕事を含む全てにおいて情熱を持ち行動する)」の3つ。商品のセレクトを含め、全ての業務について、このコアバリューに当てはまるかを考えながら判断、選択を行う。社員の業務査定にもこのコアバリューを適用することによって、ぶれない世界観を構築している。安易に「売れるもの」や「流行しているもの」に迎合し、それを判断の指標にしてしまうと、一番大切な“友安製作所っぽいよね”という世界観が崩れてしまう。
世界中の人々の生活に彩り
今後の事業展開や経営を考えるうえで重視しているのは、ショートターム(短期)の戦略だ。新型コロナウイルスは象徴的ではあるが、それ以前から社会や経済の情勢が目まぐるしく変わっていて、そうした環境では5~10年といったロングターム(中長期)で事業のフレームを固めてしまうことは、むしろ経営的には足かせとなる。コアバリューは貫きながら、環境の変化に適応できるショートタームの事業・経営戦略によって、「自社が提供する商品・サービス・空間で世界中の人々の生活に彩りを加え、ライフスタイルをデザインする企業でありたい」という理念の実現を目指して、さらに成長していきたい。
左・中:カフェ・ショールームで生活者向けに開催している「DIY ワークショップ」の風景。友安製作所工務店では、「DIYサポー ト」サービスも提供している 右:3つのコアバリューに基づいてセレクトする商品が「世界 観=友安製作所っぽさ」の源になる
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