これから家を建てる人へ
み:打合せはどのくらいのペースでしていましたか?
縁:一週間に1回Zoomでやってました。
み:多いですね!
縁:設計士さんが県外に住まれていたので、リアルで会う機会はあまりなく、間取りを決めるまではそんなペースでした。
み:顔を合わせない不安やストレスはありませんでしたか?
縁:全くなかったです。むしろ私たちの時間に合わせていただけたのでやりやすかったです。
み:決める作業は楽しかった?辛かった?
縁:仕様決めという内装を決めるところはしんどかったです。決めることが多すぎて疲れ果てて…最後はどうでもいい、という気持ちになってしまっていました(苦笑)。
み:注文住宅で最初はいろいろ注文したい、こだわりたいというのがあって、でも最後は疲労してどうでもよくなるというかお任せになっちゃう部分ってありますよね。そのあたり、これから家を建てようという人にどんなアドバイスができそうですか?
縁:それなりに調べておいた方がいいと思います。今は情報過多ではありますが、知っているのと知らないのとでは全然違います。今はこだわりたいと思ったらインスタで探してみると個人作家さんがすてきなペンダントライトをつくっていたり、探し甲斐があります。うちは表札も個人作家さんのものを買いました。こだわりたい人は情報収集をしておいた方がいいです。
スケジュール的にも余裕をもったほうがいい。間取りが決まると一旦落ち着いちゃって。そろそろ決めましょうという段階になってからまたあれこれ決めていくというのは大変。間を空けずに決めていった方がいいと思いました。
み:情熱が持続するように間は空けないほうがいいと。ある程度スケジュールに余裕を持ちながら、自分の理想を調べてプロに相談するのがいいということですね。
縁:自分たちで好きなものを選べるという選択があるということを知らない人も多いと思います。標準だと「ここから選んでください」と提案されたものの中からしか選べないし、そういうものだと思ってしまう人も多いのでは。
み:あとは疲労との折り合いをどうつけるか。プロに対しての不信感が出てくる時期でもあるだろうし。連絡・報告がない、質問してもすぐ返ってこないというのは不満でよく聞くことですが、そういうことは?
縁:やり取りをチャットでしていたのでレスも早かったし不信感を抱くことはなかったです。わからないことに対してはいちいち聞いていました。建築の専門的な言葉とかわからないことも多かったですが、そういうことは言葉の意味から聞いて教えてもらいました。
心掛けたのはなるべく文字に残すこと。言った言わないだとトラブルのもとになると思ったので。私からは電話しないようにしました。すぐに確認しなければいけないことなど電話がかかってくることも多々ありましたが、そういう場合は自分でチャットに文面として残していくようにしました。
み:遡れば発言や提案資料も要望も全部残るというのが安心かもしれませんね。
縁:提案していただいた資料も会話もすべてチャットに残っているし、メールよりもチャットの方が会話が進んだ感じがしたのでおすすめです。
み:建築中の不安はありましたか?
縁:家を建てているときが一番不安でしたね。柱が立っているのを見て、あれ?こんなに狭いのかな?設計士の方と私たち素人は空間把握能力が違うので、間取り図での想像と実際見た時に「思ってたのと違う」と。狭くないか大工さんに何度も確認しましたし。上棟してから6か月間、そのもどかしい思いを抱えていました。壁が全部塗り終わって初めてあ、いいじゃん!って。
み:これから家を建てる人も同じような思いを抱くかもしれませんが、どうやったら解消できたと思いますか?現場を見ないようにするとか3Dとか?
縁:3Dでも見せていただいてはいたんです。間取り図つくる段階で自分たちで土地を何度も見て感覚をすり合わせていればよかったかな。実際土地は購入してあったけれどそれほど見てはいなくて。間取り図を作る段階で土地を見ながら考えていれば大体の幅の感覚もわかったのかな、と。
み:土地を最初に頭に叩き込んでおけば間取り図と比較して広さの感覚なんかもわかったかもしれませんね。家づくりとしていく中で、ほかに建築中のストレスやアドバイスできるようなことはありましたか?
縁:色味が難しかったですね。壁、床、キッチンの色が3色絶妙に違ったんですが、違う色で大丈夫?とか。設計士の方に「変じゃない?」と相談してました。
例えば壁の色を「こんな色にしたい」と伝えたら、「そうなると家の中の家具の色を変えたほうがいい」と。「家具を買い替える予定ならそれでもいいけど、もしそうでないなら今持っている家具と合わなくなりますよ」というアドバイスをいただいて、大きな決断になるし考え直しました。
壁の色はだいぶ左右されるから、一時の迷いで決めるものじゃないな、と思いました(笑)。
み:家が建ってから今に至るまでのお話をお伺いします。引き渡しの時は感動しましたか?
縁:やっと終わった~!!!でしたね、長かったので(笑)。間取り図を考え出してからちょうど1年くらいで家が建ったんですが、土地探しはその半年くらい前からしていたから「長かったな~。やっと住める!」という気持ちがとにかく大きくて。プロジェクトが大きいだけに、終わった感でした。
み:それは(家づくりから)解放された感?それとも達成感?
縁:解放された感(笑)。色々なものを選ばなければいけない決断からの解放です。
み:思い描いてたことと暮らしてみてのギャップはありますか?
縁:建築中ずっと不安に感じていた狭さですが、結局建ってみたら狭く感じなかった。それよりも自分の性格を考えて、家が散らかるんじゃないかという不安が入居後までありました。でも住み始めて、そんなに散らかってないんです。だからやっぱりこの間取り図は正解だったし日々のストレスから解放されたストレスフリーの生活が大きいです。自分が思っていた以上に毎日何かしらにストレスを感じていたんだ、ということに気付きました。高性能住宅は予想をはるかに超えてよかった。
み:ずぼらな性格の部分と高性能住宅の動線が思っていた以上に良かったんですね。こだわって選んだものの満足度は暮らしにどう影響していますか?
縁:自分で選んだ洗面ボウルとか、家に来たお客さんがみんな褒めてくれる。毎日見るものなので、これを選んでよかったなと思います。
み:毎日見てさわるものは自分の好きなものがいいということですよね。そこを失敗しなかったのは大きいんですね。
縁:キッチンが最後の最後まで決められなくて、悩みました。標準仕様の中で選ぶか自分でいいと思ったものにするか。予算の関係ももちろんあるけれど、「いいものにしたい」という思いが勝って予算オーバーしたけど好きな方にしました。やっぱり毎日いる場所なので、これにしてよかったな、とすごく思います。「毎日いるところ」は好きなものでこだわったほうがいい。
み:そこで妥協して後悔するよりも、多少予算はオーバーしても思い切ってやったほうが後悔もないしストレスもないかもしれませんね。
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