新たな方法でCX 向上を目指す
小林さんは、コロナの影響で工務店のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速した一方で、「取るべき戦略は変わっていない」という。
受注獲得手段として、以前から高いウェイトを占める口コミや紹介は、アフターコロナでも、重要な役割を果たすと小林さんは考える。口コミや紹介で検討対象になった工務店は、初めに述べた「出会いやすい」存在になるからだ。
口コミ、紹介を強化するカギはCX(顧客体験)。リアルでのイベントは難しい時期だが、“オンライン感謝祭 ”や、SNSのフォトコンテスト、OB顧客とのオンライン座談会など、新たな形で「既存の顧客を巻き込む」活動が増えている。工務店には、このような新たな取り組みを通じてCX向上に繋げてほしい。
コロナ禍こそ新卒採用チャンス
実は工務店にとって、コロナ禍の今こそ人材の採用チャンスだと話す小林さん。
新卒採用に慎重になっている企業が多いことから、優秀な学生が取りやすくなっている。そのうえ、オンライン採用がメインになっていることから、合同説明会などのコストも削減できる。今こそ前向きに採用活動に取り組むべきだという。
スムーズは、工務店に特化した求人を無料で提供する「スムジョブ」を提供している。簡単に採用サイトが作成でき、工務店に役立つサービスとなっている。
工務店を地域の人気者に
スムーズの強みは「人気をつくる」こと。生活者はもちろん、助成金サポートなどを通じて行政から応援される会社になることで、利益を地域に還元できるよう支援を続けてきた。
工務店支援と同時に力を入れているのが、まちづくり開発事業だ。人気のない(地価の安い)エリアに工務店が投資し、施設などをつくって運営することで、エリアの人気と価値を高める取り組みを行っている。地域も盛り上がるし、工務店も利益を得られる。「まちの発展は、工務店の発展とイコール」であり、小林さんはこれを「まちの上場」と呼ぶ。
新型コロナは、都市集中型の社会から地方への分散を促進している側面がある。小林さんは「地方に人が流れていく今は、工務店にとってチャンス」と説く。厳しい状況だからこそ、支援を通じて「工務店の役割や価値を、地域の視点から再定義したい」(小林さん)。
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