新型コロナウイルスの影響が表面化してから半年以上が経過した。収束はまだ見えないが、世の中は変化しながら動き続けている。工務店も、変化に対応していかなければ今後の受注が難しくなりそうだ。工務店に特化して、500 社以上の IT・IR・広報支援、経営コンサルティングを手掛ける SUMUS(スムーズ)の社長・小林大輔さんに、コロナの影響を含めて“ これからの工務店の生き方 ” について聞いた。
小林 大輔 氏
代表取締役社長住宅メーカーに特化した経営コンサルティング事業を行い、500 社以上のクライアントをサポート。ライフワークは「幸せなまち」を作ること。note で主にまちづくりに関する情報を発信中。
3 番目までに出会うことが重要
まずは、ウィズコロナの生活様式の影響が特に大きい「集客」に関する変化について伺った。
現状では、住宅会社や展示場への来場者はすでに回復しており、対面での相談・打ち合わせを望む生活者は依然として多い。しかしコロナ禍で、「比較検討する会社の数が減った」と話す小林さん。
具体的には、以前は候補の住宅会社を6 社まで絞り込み、実際に訪問するという行動パターンがあったが、今では人との接触を避ける意識から「訪問は出会った3 社まで」に変化している。つまり、競合他社の中で3番目までに出会わなければ、受注を獲得できないということ。以前と同じ集客方法では「不戦敗」の可能性が高まるばかりだ。
しかし、コロナの影響によるチャンスもある。ワークスタイルが変化したことから、郊外志向の生活者が増えるなど、住む場所の選び方にも変化が見られるようになった。工務店は、広告エリアを隣県まで拡大するなどの見直しを行うことで、見込み客を増やせる可能性がある。
生活者は、住宅会社のHPやSNSで情報を得ながら候補を絞り込んでいる。コロナ禍で、特にHP等の対策をしてないにもかかわらず、サイトの閲覧数が増加した工務店もあるという。生活者に選ばれるための情報発信は今後さらに重要になっていく。
オンライン営業の強化を
企業の情報発信ツールとして定番となっているSNSは、住宅業界でも「やっていて当たり前」の時代になった。住宅展示場での対面営業が制限されたこともあり、すでにSNSやYouTubeなどを中心とした発信に切り替えている大手ハウスメーカーも。
オンライン営業にシフトし、専用のタブレット端末を配布して効率的な営業活動を行っているメーカーも見られる。小林さんは、「営業ツールとして使用するデバイスは、工務店が見落としがちなポイント」だと指摘する。生活者が保有している端末が、自社の営業手法に必ずしも適しているとは限らない。通信環境・料金によって、オンライン営業の効率低下を招いてしまうケースも多いという。小林さんはこのような問題を解決するため、「顧客に貸与できるデバイス」を準備しておくことを工務店に推奨している。
また、今後再びコロナの感染者が増える可能性も十分に考えられる。非対面・非接触の営業を余儀なくされる場面に備え、打ち合わせを効率化できるシンプルな営業ツールを活用することもおすすめしたい。スムーズでは、ITサポートとして工務店ファーストな専用システムを多数提案している。
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