工程表共有、次工程への引き継ぎがスムーズに
同社は、2019年9月に施工管理アプリ「ANDPAD」を導入。すでに現場のデジタルシフトと情報伝達の一本化が浸透していたため、新しいアプリも抵抗感なく受け入れられた。
大きな変化は2つあるという。「1つは、工程表の共有が格段に楽になったこと。もう1つは、チャット機能で作業報告をすることで、次の業者への引継ぎの手間がなくなったこと」。
以前はエクセルで工程表を作成し、変更がある度に書き換えてPDFで保存、それをチャットアプリで共有していたという。ANDPADの場合は、クラウド上で管理するため、工程表の作成・変更・保存・共有が同時に完了。常に最新の工程表をスマホで共有できるため、どのファイルが正しいか分からなくなった、急な予定変更に手間取っているうちに行き違いが生じた、といったミスを回避できるようになった。「丁寧な図面とANDPADさえあれば、現場に急行するような問題は基本起こらない」という手応えを感じている。
ANDPAD 使った「全棟自主検査」へ
さらに同社は今秋、新しい挑戦を始める。ANDPADを活用した「全棟自主検査」だ。
石井社長は、第三者機関による全棟施工検査を長年にわたって実施し、品質向上にこだわり続けてきた。しかし最近は、品質管理の方法について改めて模索し始めていた。
後押ししたのは、新型コロナの問題だという。「外出自粛要請が出るなか、現場に行く回数をいかに抑えて、施工品質を上げるかを考え抜いた結果、職人自ら検査を行い、それを社内でチェックして品質管理を徹底する仕組みをつくればいい、という答えに行き着いたんです」。
そこでANDPADに協力を要請。現在は、自主検査に向けたルールづくり・資料整備を社内一丸となって進めている。職人は今後、このルールに従い、ANDPADを使って写真提出と検査報告を行っていく。
なぜ、ここまで施工品質にこだわるのか。石井社長は「自分たちでつくったものを自分たちで検査して品質を担保するのは当たり前のこと」だと言い切る。「今年4月の民法改正以降、図面・契約書通りの仕事がきちんと行われているかどうかが重視されるようになったうえ、職人の意識やスキル、現場の生産性を上げる意味でも自主検査は必須の取り組み。何より、検査はお客様の安心につながるので、やらない理由が見つかりません」。
めざすは「滋賀で一番」
他にも挙げるとキリがないが、20代スタッフによる顧客サービスプロジェクト「おもてなし委員会」、紹介受注が取れるくらい安全で美しい工事環境をめざす「現場美化プロジェクト」など、ユニークな仕掛けを企画し、実践している。10月には、石井社長自ら抜き打ちで現場に赴き、厳しい目で作業環境や施工品質をチェックする現場パトロールを始めたばかり。ここでも進捗把握のためにANDPADが活躍する。
「日本中の人に躯体性能の高い、快適で健康に暮らせる家に住んでほしいというのが僕らの願い。それを叶えるために、滋賀県ナンバーワンの会社になるつもりです。これからますます難しい時代に入りますが、工務店がすべきは本業への集中。そのとき助けになるのがANDPADだと思います」。
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