古民家から出る柱や梁を使った建築を手掛ける山翠舎(長野市)は、材料の調達ルートを拡大し、古材に特化した専門工事の請負に乗り出す。
古材ショップなどが抱える在庫を積極的に買い取って取扱量を増強、設計者や元請会社からの多様な要求に応えられる体制を築く。
背景にあるのはニーズの高まりだ。同社は、オフィスや店舗などの改修を中心に、古材の調達から選別、加工、建築の設計・施工までをワンストップで提供する事業を2009年から本格展開し、その実績は首都圏を中心に500件を超える。
そこに加えて最近は、世界的なカフェチェーンやスポーツメーカーの国内の店舗などで、設計事務所や建設会社の下請けとして古材を用いた工事を行う機会が増えているという。
古材を用いた建築の普及により、地域の歴史と風土が刻まれた古民家の価値化を目指す同社社長の山上浩明さんにとって、ワンストップ事業は普及スピードに限界がある。
そこで古材の施工のみを部分的に受注する、いわば「古材工事」の専門請負を展開することで、高まるニーズを追い風に普及を加速させる考えだ。
また、コロナ禍でホテル・旅館業や飲食業の倒産・廃業が拡大していることにより、事業者の入れ替わりなどでコロナ後に増加すると目される店舗リノベーション需要への対応も視野に入れる。
古材の調達ルート拡大し 低価格ニーズにも対応
古民家ビジネス活性化へ事業領域拡大
山翠舎(長野市)は、古民家から取り出した柱や梁にラベリングし、履歴や属性を明示。トレース(追跡)可能なこれらの材を「古木(こぼく)」と銘打ち、歴史性や物語性を付加価値として打ち出しながら旅館や店舗の内外装に提案している。社長の山上浩明さんは、古材調達から設計・施工まで手掛けるワンストップ事業に、古材工事の専門請負というサービスメニューを増やすことで「古民家再生事業をより強固にしたい」と思いを語る。
依頼主に設計事務所や建設会社が加わり、要求が多様化することから、古材ストックを積み増す。現在は、大町市内の倉庫に約5000本の「古木」を保管しているが、今後は・・・・
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